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BRANDING / LOGO / WEB / GRAPHIC

HP公開後、求人の応募や問い合わせが増え、
BtoB企業にもデザインが必要なのだと実感しています。

株式会社ティーワン
代表取締役 松本 哲也様
建築業・製造業、専門サービス

カーボンファイバーを使用したレース用の自動車部品などを製造しているティーワンさま。
会社のHP制作をきっかけに、自社ブランドのブランディングもお手伝いしています。
BtoB企業の情報発信の必要性や、BtoC事業のブランドづくりのプロセス、今後の展望についてあらためてお聞きしました。

求人すると想定以上の応募があり、
仕事の問い合わせも増えています。

_2017年に会社のロゴマークやHPを制作しました。そのきっかけから教えてください。


松本 私たちはBtoB企業なので、HPは必要ないと思っていました。おかげさまで仕事も順調で、宣伝の必要も特になかったからです。しかし、困ったことが一つありました。それは、採用活動が思うように進まないこと。募集しても応募がなかったり、こちらが希望する人ではなかったり、人材の確保に苦労していました。事業拡大に向けて、愛媛県松山市に新工場も建設していて、現地で求人することも決まっていました。
そもそも、今は応募する前に会社のことを調べるのは当然ですよね。最低限、HPは必要だと思い、溝田さんに相談しました。数あるデザイン会社からデザインエイエムさんを選んだのは、溝田さんと私は同郷でデザイン事務所の存在を知っていたからです。

溝田 約35年ぶりの再会でしたね。

松本 私から連絡したんですよね。連絡したものの、自社のためにデザイン会社と何かを制作するのは、初めてのことだったので、何をどう伝えればいいのか、うまく話せるか、少し不安もありました。しかし、事前のヒアリングで、事業の詳細や経営のこと、将来の展望など、私のバックボーンを含めて質問してくれたので、自然と答えることができ、漠然としていた自分の考えを整理する機会にもなりました。

溝田 デザインはツールなので、その目的を共有することが重要です。松本さんの場合は、当初から「採用に役立てたい」と目的が明確でした。中小企業に就職を検討している人たちが知りたい情報は、事業内容はもちろん、「どんな社長が、どのような考えで経営しているのか」だと思います。それを、どんなトーンで言語化し、視覚化するか。表層的に飾り立てるのではなく、表現すべきことは「ティーワンらしさ」。それは、どのクライアントに対しても共通している考えです。

松本 HPが完成後、松山市のハローワークに求人を出しているのですが、想定以上の応募があり、やる気のある若い人たちを20人以上採用できています。あと、仕事に関する問い合わせも来るようになったんですよ。大手メーカーからも相談があり、試作品を制作する仕事も受注できました。

溝田 採用はもちろん、仕事の問い合わせが増えているのは喜ばしいですね。松本さんは、世界を目指し「一番手を獲る」という目標を掲げています。その熱い思いを聞いたとき、とても共感しましたし、伝えるべきポイントだと思いました。

松本 ヒアリングのときに話した内容がコンパクトにわかりやすく言語化されていて、さすがプロだなと思いました。私の写真を掲載することには抵抗があったのですが、溝田さんの提案を受け入れて良かった。写真があることで目を引きますし、言葉の信用度を高めることにもつながっていると思っています。

BtoB企業の自社ブランドの立ち上げ。
ネーミングも一緒に手がけました。

_松本さんは2019年から、カーボンファイバーの性能と、これまで培ってきた技術をもとに、オリジナルのフィギュアスケート靴の研究・開発をしています。自社ブランド「Tobiha(トビハ)」を立ち上げ、デザインエイエムはブランディングを担当しています。まず、ブランドを立ち上げることになった背景から教えてください。


松本 これまでのフィギュアスケート靴との違いは、履き慣らす期間がほとんど必要ないことです。特徴は、軽量で足に馴染みやすく、ケガをしにくいこと。まだ完成には至っていませんが、世界市場も視野に入れたBtoC事業に成長させていくことが目標です。溝田さんには、情報発信の方法について相談しました。フィギュアスケーターの小塚崇彦さんにサポートしていただくことが決まり、その打ち出し方などを考えていくというタイミングでしたね。

溝田 ティーワンさんには、競輪用シューズはじめ、アスリートと共に開発するカーボンファイバー製品のブランド「TT-one(ティーティーワン)」があります。そのブランドを活用するという考えもありましたよね。ただ、フィギュアスケートは女性ファンが多く、優雅で美しいスポーツです。松本さんはトップ選手一人ひとりにカスタムした靴をつくるだけでなく、既製品の販売も視野に入れています。そうした背景から、TT-oneとは分けて、新たなブランドを立ち上げることを提案しました。

_ブランド名も決まっていない段階からのスタートだったのですね。


溝田 そうです。松本さんからヒアリングをした後、最初に、ブランド名の開発から着手しました。コピーライターさんと共に、「フィギュアスケートの華やかさ」「カーボンの素材の特徴」「一番手や勝利など強さ」など、考え方のグループをつくり、発想を広げていきました。 最終的に決まった「Tobiha」は、漢字で書くと「飛羽」。飛羽は、トンボの語源の一つと言われています。トンボのモチーフは、ティーワンのロゴマークにも入っています。松本さんの「一番手を獲る」という姿勢を、勝ち虫と呼ばれる「トンボ」に見立て、デザインしました。

松本 「Tobiha」は、ティーワンとも親和性がある名前なので、とても気に入っています。

溝田 決定まで紆余曲折ありましたね。第1候補だった案は、商標登録ができないことが分かり断念。これまで検討してきた候補をあらためて見返したところ、目に留まったのが飛羽を「TOPPA(トッパ)」と称した案でした。たしか、第3候補としてご提案したものだったと思います。

松本 ティーワンの原点に立ち返り、飛羽を本来の読み方である「トビハ」にするのはどうだろうという話になったんですよね。

溝田 「Tobiha」という言葉は、初めて聞く人も多いと思います。だけど、音の響きから未来に向かって成長していくようなイメージがある。独自性の高いブランド名を開発することができました。

松本 「と」をモチーフにしたマークも気に入っています。

溝田 ありがとうございます。グローバルでの展開も目指されていることから、日本のブランドであることを醸し出せるモチーフとして、平仮名の「と」を選びました。一筆書きもできる軽やかな文字で、スケートの優雅に滑るイメージとも重なります。諸説ありますが、「と」は「登」という漢字から進化したとも言われていて、意味合いも良いと思いました。

ティーワンのブランド「Tobiha」
フィギュアファンにも誤解なく伝わっています。

_クラウドファンディングも実施しました。その一番の狙いは。


松本 開発資金を少しでも集めたいという気持ちと、フィギュアスケートのファンに「Tobiha」のことを知ってもらい、応援してもらいたいという思いがありました。ホームページの制作をしている段階だったので、クラウドファンディングのページも溝田さんにお願いしました。

溝田 特に気を配ったのは、松本さんと小塚さんの関係性の伝え方でしたね。小塚さんはオリンピックにも出場された誰もが知るフィギュアスケーターです。小塚さんは「Tobiha」にとって欠かせないパートナーですが、開発メーカーは「ティーワン」。この関係性とメーカー名がうまく浸透するように、クラウンドファンディングの「ご挨拶」は、松本さんのみにしました。名前を表記するときの順番や、写真の大きさなども工夫しています。

松本 細やかな配慮のおかげで、小塚さんのファンや、フィギュアファンにも誤解なく伝わっていると思います。SNSをチェックすると、「小塚さんと一緒に開発しているティーワンのTobiha」といった、私たちの社名入りの投稿がいくつもあります。

自社ブランドの商品開発は、
社員のモチベーションアップにもつながっています。

松本 Tobihaの開発は、社員教育にもなっています。自分たちが開発している商品が、オリンピックの金メダルに貢献できる可能性がある。その夢に向かって、プロスケーターの意見を取り入れながら製品を開発していくプロセスは、苦労もありますが喜びもある。とても貴重な経験であり、社員のモチベーションを高めることにもつながっています。Tobihaの開発に直接携わっていない社員も、HPやSNSを見れば自分の会社がどういったことにチャレンジしているか理解できるはずです。情報発信は、インナー向けにも役立つのだと気付きました。

溝田 ビジネスにおいてデザインが貢献できることは多々あり、経営者が目指すべきところにたどり着くための一助になると思っています。それは、BtoC企業に限らず、BtoB企業でも同様です。

松本 私もそれは実感しています。最初にもお伝えしましたが、私自身、BtoB企業にブランディングやデザインは必要ないと思っていましたから。しかし、世の中の流れはそうじゃなかった。ティーワンへの問い合わせが増えているのも「小回りが効きそうで技術力がある」ことが、HPから読み取れるからだと思っています。




_最後に、今後について聞かせください。


松本 「Tobiha」の最終的な目標は、フィギュアスケーターを目指す子どもたちに履いてもらうことです。靴が合わなくて足に問題を抱えている子どもたちは、少なくありません。一般市場での販売実現のためには、トップ選手に選ばれる製品になる必要があります。もし、その選手がオリンピックで金メダルを獲得できれば、子どもたちも履いてみたいと思うはずです。靴の開発メーカーの私たちにも注目が集まり、新たなビジネスにつながる可能性もある。オリジナルのスケート靴が売れることはもちろん、その先に広がるビジネスもイメージしながら開発に取り組んでいます。

溝田 オリンピックをはじめ、世界大会で結果を出したとき、期待を寄せて問い合わせをしてくれる方々を裏切らない情報発信や姿勢が必要だと思います。そのためにも、HPの情報は更新が必要です。スケート靴の進化と共に、デザインもアップデートしていきましょう。 今日はありがとうございました。

ご協力いただいた企業様

株式会社ティーワン
代表取締役 松本 哲也様

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良き人材が集まり、取引先との関係もより良好に。
デザインが追い風を運んできてくれました。

株式会社マルヨシ
代表取締役 杉野 久美子様
専門サービス

当社のホームページを熟読して、初めてくださったお電話が「ご依頼」だった株式会社マルヨシさま。
企業ブランディングデザインのお手伝いをさせていただいています。
社名変更から始まった“一新” は、代表の杉野久美子さんの明確なビジョンのもとで着実な成果を生んでいます。
どんな変化が起こっているのか、伺いました。

溝田杉野さんから初めてご連絡をいただいたのが、2017年の12月でした。いきなり弊社に依頼してくださる前提でのお電話で、様子伺いの部分がまったくなかった。

杉野御社にお願いすると決めて電話しましたから(笑)。御社のHPのデザインにひっかかったんです。「ひっかかった」と言うと語弊がありますが、それは嬉しいひっかかり。写真も良かったですし、すっきりした文章にも惹かれました。こんな素敵なHPがつくれるなら、うちの会社のもつくってほしいと。

溝田実際はロゴマークから始まり名刺、封筒、看板、HPと、ある程度まとめてブランディングさせていただいていますが、杉野さんとしては2020年の創業60年を見据えてのアクションだったのでしょうか。

対外的、対内的どちらも誤解されないものをつくりたい。

杉野最初はそういう意識は全くなかったのですが、とある会社さんのロゴを見た時に思うことがあったんです。そのロゴが会社さんのイメージに合っていない気がして。自分のところはどうなのだろうと。「マルヨシらしさを表しているのか?」って。そこからですね。「間もなく60年だし」と紐付けされて、いろいろ変えてみようと思いました。うちらしさをしっかり表現して、対外的、対内的どちらにも勘違いのないものをつくりたいと思いました。

溝田社名を「株式会社マルヨシクリーニング」から「株式会社マルヨシ」に変えられたのが2018年でしたよね。

杉野はい。理由は同じです。以前の社名は実際自分たちがやっている仕事を明確に表していませんでした。町の小さなクリーニング店だと勘違いされている節もありました。同じクリーニングでも、うちは産業クリーニングの会社。企業が相手さんです。従業員も商店街のクリーニング屋さんのイメージでいたらダメなんです。それにクリーンウェアの販売やレンタルなど他の事業も行なっていますから、社名と仕事の内容が一致していなかったんです。

溝田お話を聞いていくなかで「勘違いしないもの」というのがひとつのキーワードとしてあるなと思いました。実際、僕自身、御社を知っていく中でギャップがあることも感じました。みなさんとても楽しそうに仕事をしていて、中には勤続30年とか40年とかの方もいて。その方たちが誰よりもテキパキ、誇りをもって働いていらっしゃる。その事実だけでもう圧倒されました。
すごくかっこいいと思ったんです、シンプルに。そういう部分も含めて中身をストレートに表現することで、間違いなく伝わるものがつくれる確信も生まれました。いい人材を確保することも、課題だとおっしゃっていましたよね。

杉野人材に関しても、今回のブランディングのおかげで、能力のある、しかも勘違いのない人が集まりました。



求人の応募者数は5倍以上に。
優秀な人材を採用できました。

杉野36歳以上の人をお断りしてなお25人も面接したんですよ。それで20代後半と30代前半の5人を採用することができました。若さというのは迫力がありますね。うちの仕事に向いた人、優秀な人が来てくれたことにブランディングの大切さを改めて感じています。ブランディングをすることによって、中身と外見とが一緒になれば、求人は必ずよくなると思っていましたが、抜群の成果が出ています。

溝田それはこの上ない朗報です。

杉野1人は次期社長になってほしいくらいの人です。一方で退職する人もおりました。それは会社をやっていく上で仕方がないことですが、いろいろ変わっていく中で働いてくれている従業員はみんな嬉しそうです。以前にも増して、自分らしいやり方で仕事を進めていくようになりました。

溝田まわりからの反応はどうですか。

杉野やっぱりロゴマークの反応が一番ですね。このガラスの看板もすごく目立っているようで「かっこいい」と言われますし、社用車にしても私自身が「あっ、うちの車」とよく気がつくようになりました。不動産屋の友達には、男性ですけれど「高かったやろ」と言われました(笑)。

溝田(笑)

杉野うちは、取引先の大手メーカーさんの中に専用のエリアがあるのですが、その会社の中でも目立っているようです。ロゴマークを変えたことで、注目してくれて、以前にも増して仕事の内容をしっかり見てくれるようになりました。設備も良くしてくれたり。縁の下の力持ち的な仕事ですけれど、注目を浴びることで起こった変化です。デザインの力ってすごいですね。

溝田弊社としてもすごく嬉しいお話ですが、制作の途中では不安とかなかったですか。

杉野それはなかったですね。自分が決めたことに迷いとか不安がないというのもあるのですが、むしろわくわく。人に押されてしぶしぶお願いしたら不安はあるでしょうけれど。それはどんなことにも言えると思います。進めるだけでした。ただ溝田さんもおっしゃっていましたが、がつんと成果が出るまでは、何年かかかると思っています。今日のも今のところはこうだという話。むしろ、今から繋がっていく。

溝田そうですね。ギャップや勘違いを無くすことで、マルヨシさんがこれまで培ってきたものが伝わるようになった。すでに目に見える成果が出ていて、素晴らしいと思いますが、まだ3年ですからね。HPにおいてはまだ1年。ここからですね。

杉野はい。10年後会社がどうなっているのか本当に楽しみでなりません。本当に何が起きるかわかりませんし、起こしてみたいんです。もうそういう方向に向かっていると思っています。“マルヨシらしさ” を本当にありがとうございます。

溝田こちらこそありがとうございます。今日のお話でも“らしさ”の重要性、見えないものを忠実に見える化することの大切さを改めて感じました。ブランディングは経営と同様に終わりはなく、まだまだ改善の余地はあると思っています。

杉野本社の建て直しなどもあり、撮影を待っていただいたりして、3年も付き合わせてしまいましたが、楽しく、面白く。やりたいことをやっていくためにも、これからも力を貸していただけたらと思います。

溝田ぜひ、ご一緒させてください。よろしくお願いします。

ご協力いただいた企業様

株式会社マルヨシ
代表取締役 杉野 久美子様

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100年の歴史に胡座をかくことなく、次の100年へ。
そのためにはブランディングが必要でした。

尾崎建設株式会社
代表取締役社長 尾﨑 徹哉様
建築業・製造業

尾崎建設株式会社さまは1924(大正13)年創業の高知の会社です。100周年を目前に、「ロゴを新しくしたい」とご相談を受けたことが弊社とのご縁になりました。出会いから3年、今はブランディングのお手伝いを続行中です。

ロゴを変えたことで
全体イメージの統一を強く意識するようになった。

溝田尾﨑さんと一緒に御社のブランディングを始めて1年、今日はいろいろ振り返りながらお話をお聞かせいただけたらと思っています。ブランディングというのは長期的にやっていくものなので、成果はこれからだと思いますが。

尾﨑はい。すぐに成果が出るなんてあり得ない。最初からそう思っていますが、溝田さんと振り返りができることは、私自身の頭の整理にもなります。

溝田ありがとうございます。ブランディングを始めて1年と言いましたが、初めはロゴと名刺と封筒のご依頼でした。4年前です。あの時は弊社にご連絡いただいたきっかけに、まずびっくりでした。

尾﨑溝田さんがNHKに出演された時に、「溝田明」ってメモっておいたというね(笑)。

溝田はい。2016年に東京五輪のエンブレムに盗作問題が起こったときに取材を受けて、NHKの「クローズアップ現代」などに出演させていただきました。出演といっても少しですが。

尾﨑ピンときたというか。わりと直感人間なんで。

溝田それも2年も経ってから検索して連絡をくださるって、なかなかありません。デザイン事務所は山ほどあるし、10社あったら10通りの答えが出る世界。

尾﨑そうかもしれませんが、数打てば当たるというものでもないと思うんですよね。見積もりと一緒に送られてきた御社のブックデザインもよかったし。実際にお会いした溝田さんは表裏がなく、清潔感もあって。なんか信頼が湧いたんです。

溝田ありがとうございます!そういえば尾﨑さん、ロゴを選ぶ時も全然迷われなくて、一択でしたよね。

尾﨑あの時も見た瞬間これだと思いました。おかげさまで評判は上々。尾崎建設の顔として、新聞広告に出すときの配置や大きさにも気を配って大切にしています。ただロゴを変えたことで、全体的なイメージを統一していくことの重要性を痛感しました。イメージの統一がないと、ロゴも半端なものになってしまうなと。それで再度、溝田さんに相談したというのが流れですね。

ブランディングは未来への投資。
だから焦らず丁寧に。

溝田ご相談いただいたのは2020年の年明けすぐでした。あの時の尾﨑さんの頭のなかには、すでにブランディングという意識はあったのでしょうか。

尾﨑そこまで明確ではありませんでしたが、100周年までに尾崎建設のイメージを統一してクリアにしたい思いはありました。

溝田そう。尾﨑さんのところはまず歴史がすごい。会社を100年続けるって、一筋縄ではいきません。

尾﨑うちは現社長が三代目で、私が四代目。創業は1924(大正13)年です。真面目にコツコツ。地域のインフラ整備に携わってきました。私は一度外に出てUターン。戻ってからの10年は土台の再構築に力を入れてきましたが、ここからの10年は人材作りだと思っています。

溝田第一の課題は人材採用だとおっしゃっていますよね。

尾﨑そこに尽きます。年間1万人ペースで人口が減っているのが高知県の現状です。もちろん労働者人口も比例しています。なかでも建設業界は平成15年頃を境に公共インフラへの投資が減り、冬の時代が続きました。しかし時を経て今、公共インフラの整備は “国の安全保障” のひとつになりました。南海トラフの想定震源域にある高知県はなおさら、地域建設業に携わる人材確保は必須です。しかも今から活躍するのは若い人たち。そこに向けた発信をしていかなければなりません。進めているブランディングは、僕にとって未来につなげていくための投資でもありますね。

歴史と革新。
プロの目を通すことでそのどちらもが明確に。

溝田未来への投資。その第一段階として進行したのがコンセプトコピーであり、撮影であり、パンフレットやウエブサイトの制作なわけですが、いかに尾崎建設さんのリアルを伝えるか。私は常にそれを考えていました。

尾﨑溝田さんは「土臭さがいい。無骨だからいい」っておっしゃっていますよね。現場の写真は、一枚もカメラ目線でにっこりはないですしね。

溝田いりませんから。寡黙に働く姿こそがリアルで、間違いなくかっこいいわけですから。ありのままを出すことが、尾崎建設さんを伝えること。何よりも尾崎建設さん「らしさ」を表現することが大切です。

尾﨑まぁ、高知の人間、しらふで「笑ってくれ」なんて言っても笑いませんし。ただ50年も前のロードローラーがビジュアルに登場するとは思いませんでした。溝田さんに発見されるまでは、社内でも忘れられたような存在で、とくに注目を浴びるようなものではなかったので。でも結果として、役目を終え錆びたロードローラーが雄弁に自社の歴史を語ってくれています。

溝田ロードローラーに関しては、“よくぞあそこに” いてくれました。

尾﨑あそことは、古すぎて扉もろくに開かない倉庫のことですね。

溝田はい。「わぁ、見つけちゃったよ」という感じでしたね。聞けば、高知県第一号のロードローラー。100年の歴史の重みをビジュアルで伝えるには申し分ない存在でした。

尾﨑まさにプロの目。おかげで素晴らしいパンフレットができました。こんなにどかんとした資料は同業他社にはありません。実際、会社説明会で配って早速1人、採用につながりました。若い人材の育成は10年先の経営に必ずや影響します。我々としてはこれからの時代を担う人たちを時間とお金をかけて育てていく覚悟です。

溝田 おぉ、嬉しいですね。ウエブの方はどうですか。公開してまだ1ヶ月ですが。

尾﨑こちらも「見やすい」「いい取り組みされている」となかなかの高評価。 私自身もやっていることに間違ないと思っているし、あれこれ一新されていくことで、新たな気持ちで襟を正すことができています。ただ本当にここからが本番。しかもブランディングって終わりがないですよね。具体的な成果は10年とか長いスパンかかると思っているので、やり続ける、進化させる。ということでしょうね。

溝田はい。ゴールはありません。ブランディングというのは経営と両輪でいかないと意味がないので。尾﨑さんはそこの理解がすごくあるので、うちとしてもありがたいのですが、最後にこれからまだまだご一緒させていただくにあたって、弊社に対して要望や期待はありますか。

尾﨑そうですね。リアルをどう昇華させてくださるかに期待しています。それと若い人の目に止まるためにも、ちょっと飛んだ発想というか、既成概念を取っ払った発想がほしい。あくまでもセンスはよく。今後ともよろしくお願いします。

溝田こちらこそ。動画もこれからですし、写真撮影もこれですべてではありません。社外のほか、社内へ向けてのインナーブランディングも大切です。もっと深掘りをして成果につなげていきたいと思います。今日はありがとうございました。

ご協力いただいた企業様

尾崎建設株式会社
代表取締役社長 尾﨑 徹哉様

土木工事の施工、保守点検業務、社会インフラの整備で
高知の明日をつくる「尾崎建設」の代表取締役社長。
社の創業は1924(大正13)年。
現在は代表取締役社長として働き方改革や、
ICT導入、ブランディング、人材育成など、
積極的に取り組んでいらっしゃいます。

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商品出荷数が3倍にアップ。
デザインの力を信じることができるようになりました。

株式会社パートナーズ
代表取締役 細川 忠宏様
ヘルスケア・医療、小売・サービス業

2012年春のお問い合わせ以来、不妊治療サプリメントのブランディングのお手伝いをさせていただいています。継続的なブランディングで、着実に結果を出されている株式会社パートナーズさま。お問い合わせ当時のエピソードやその取り組み方、今後についてあらためてお伺いしました。

溝田今回この対談をお願いするにあたり確認したところ、最初にお問い合わせいただいたのが2012年の春でした。

細川もう7年ですか。「BABY&ME」のリニューアルを考えていた時期で、デザインも一新したくてデザイナーさんを探していた時でした。

溝田この記事を読んでくださる方のために、簡単に「BABY&ME」のご説明をと思いますが。

細川あぁ、そうですね。弊社は医療機関用サプリメントメーカーなのですが、妊活や不妊治療をサポートするために開発したのが自社ブランドの「BABY&ME」。発売は2009年からで、当初のデザインはどちらかというと可愛らしいイメージでした。ただ、私の中には大人っぽくというか、かっこよくしたい思いがあり、デザイナーさんを紹介してもらったりしていたのですが、なかなかピンとくるご縁がありませんでした。

デザイン会社なのに、デザインをしないって。
そこにいちばん惹かれましたね。

溝田インターネットで見つけてくださったんですよね。

細川はい。いくつか見ていくなかで御社のWEBサイトに辿り着きました。その中に「デザインは表面を飾ることではない。安易に飾り立てることよりも、大切なのは何を削ぎ落とすか。デザインの目的は本質を伝えることだ」だったかな。そんな文言があって、デザイン会社なのに「デザインをしない」とも書いてあって、おやって思いました。

溝田あ、書いてあります(笑)。デザインは目的でなく、あくまでツールなので。

細川過去の仕事を拝見していいなというのもありましたが、いちばんの決め手はそこでしたね。

溝田そこはブレずにやっている自負もありますが、どんなデザインが上がってくるかわからない段階でご判断いただくわけですから、不安もあったかと思います。最初にお手伝いさせていただいた「BABY&ME」のロゴとパッケージデザインとパンフレットの制作のお見積もりも決して安くはなかったと思いますし…。

細川圧倒的に高かったです。でも「BABY&ME=パートナーズ」「パートナーズ=BABY&ME」となっていくためにも、ここで妥協はできないと思ったんですよ。気休めで安いサプリメント飲むくらいなら飲まなくていいと思っているのと一緒で、意味のないデザインを頼むなら頼まないほうがいい、先のことを考えていこうという結論に至りました。

溝田ありがとうございます。ご提案はピンとくる感じでしたか。以前のパッケージは情報が多すぎる印象があったので、だいぶ整理してのご提案になりました。

細川はい、しっかり“削ぎ落とされて”返ってきました。しかも色もモノトーンという。そのパッケージデザインを今も使っていますが、7年たっても古くなるどころか、覚えてもらえて広がっていく。「これがブランディングデザインというものなのか」という体験をしています。

溝田ブランディングは長期的な視点が大切で、古くならないように工夫しています。以前、お客さまから「堂々とリビングに置いておけるパッケージデザイン」というコメントをいただいたと伺って、細川さんがこの一言だけでリニューアルした甲斐があったとうれしそうにおっしゃってくださったことが、とても印象に残っています。

細川その後も同様のお声をけっこういただいていて、そういう使い方をしてほしいという思いがあったので、改めてデザインの力を感じています。妊活という言葉もなかったですし、ちょっと前までみなさん隠してやっていましたから。

溝田そうだったんですね。

ブランディングは長期戦略。
見積書の数字だけがデザインフィーじゃないなと。

細川あとは「学会のブースで見たんだけれど、説明に来てほしい」と、新しいクリニックさんから連絡があったり。それで伺うと、「あー、これこれ」って、ニコニコしながら手に取ってくれるんですよ。何回もあります。そういう体験をすると、見積書に打ち込まれた数字だけがデザインフィーじゃないなと。

溝田お付き合いをしていく中で、細川さんはデザインをすごく大切に考えてくださっていると感じますが、一般論としては「この予算を投じてどれくらいの費用対効果があるのか?」というのが話題に上がります。

細川僕はもう今では安いと思っているくらいですよ。実際、溝田さんにデザインをお願いするようになって出荷数が3倍に伸びましたから。

溝田安いとまで言い切っていただけるのは大変ありがたいですね。

細川だからって上乗せは困りますけれど、なんの心配もせずに、むしろワクワクしてお願いしていることは事実です。

溝田御社は、お客さまにはわからないレベルというか、細部の細部まで考え抜いて製品開発を行っていらっしゃるので、そこに対するこだわりや品質の良さを弊社としてもしっかりデザインに反映させたいという思いがあります。

世界観を崩さずにブランドを成長させていきたい。

細川考えているパッケージのアルミ化でもぜひお力を借りたいのですが、販促物や資料など「BABY & ME」にまつわる一切を統一的なデザインにしていきたいと思っています。その際にWEBもパンフレットも、文章で説明する代わりに、よりビジュアルを生かしたデザインでの提案をしていただけたらと思っています。今やビジュアルが言葉みたいなところがありますよね。

溝田ビジュアルコミュニケーションですね。

細川はい。でも「BABY&ME」はアルミになっても築き上げた世界観は変えたくありません。それこそデザインの力が必要です。

溝田世界観、統一感というのはとても大切です。それがなくなるということは、言葉と同じで一貫性がなくなったりブレることになって信頼されにくくなるということ。今後もブレストを重ねながらいいものを作り、お客さまにも喜んでいただきたいですね。

細川よろしくお願いします。御社と一緒にやらせていただくようになって、デザインの力を信じられるようになりました。すべてを受け入れて消化して昇華する。しっかり考えてすごく新しいアイディアで返してくれるから、こうきたかという楽しみもあって。

溝田今後とも御社の発展に貢献できるように取り組んでいきますので、どうぞよろしくお願いします。

細川自分たちでは思いつかないところに、ぽーんと連れて行ってください。

溝田ぜひお連れしたいと思います。今日はありがとうございました。

ご協力いただいた企業様

株式会社パートナーズ
代表取締役 細川 忠宏様

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「デザインとはこういうもの」と決めつけず
トライ&エラーで納得のベストに導いてくれる。

株式会社インテージヘルスケア
執行役員 リサーチコンサルタント 佐藤暢章様
IT・人材サービス、ヘルスケア・医療

株式会社インテージヘルスケアは、ヘルスケア領域に特化した マーケティング・リサーチ会社です。
医療従事者と医療消費者、双方からアプローチできる医療データを整え、業界ではオンリーワンとも言える位置を確立されていらっしゃいます。パンフレットビジュアル、アイコンロゴ制作、『Datalympic 2018』のデザインのお手伝いなどをさせていただきました。

インテージヘルスケアさんとのおつきあいも3年になりました。
HPで弊社を見つけていただき、お問い合わせをいただいたのが始まりでした。

そうでしたね。以前は違う会社さんにお世話になっていて、わりと長い間、無難なデザインでやっていました。でも「少しテイストを変えて、うちらしさみたいなものをデザインでも表現できたらいいよねという話が持ち上がりまして。それでいろいろな会社さんのHPを検索して、御社を知ったというのが経緯です。3社に絞って、最終的に御社に決めました。

3社のうちの1社に選んでいただけたのも光栄ですが、
最終的な決め手は何だったのでしょうか。

そもそも「テイストを変えたい」から始まった話ですから、まずそこがしっくりきたことですね。HPの実績もとても見やすく、非常にテイストがつかみやすかったです。
あとは予算感ですね。やりたいことはいろいろありますが、予算度外視というわけにはいきません。実際、パンフレットのビジュアル制作という小さなお願いからのスタートでした。

そこからアイコンやロゴを見直したいというお話をいただいたり、セミナーに使うパネルを作ったり。システムの画面変更にも携わらせていただいています。

一度にあれもこれもではなく、こちらのタイミングを聞きながら進めてもらえるのはありがたいです。それと柔軟性。大概3案くらい作っていただいた中から、どれかひとつ選ぶという話になりがちじゃないですか。ときには消去法で「これかなぁ」みたいなことも。それが御社の場合はなくて、「ここをもうちょっと」みたいな話ができる。調整してもらえる余地があるというか。「ぼやっとしたイメージでこんな感じ」という要望も汲み取って柔軟にやってくれる感触があります。

「おっしゃっていることはわからなくはないんですが、これってデザインなんで」とか「デザインってそういうものなんで」みたいなことは一切言いませんよね。
もちろんプロが作って来てくれるものなので、完成形であるのはこちらも十分わかっているんです。
わかってはいるんですけれど、「ちょっとこここうしてみたい」っていうのがあるじゃないですか。

代表の溝田には「本質を伝えられてこそのデザイン。その先の未来に導けてこそのデザイン」という思いが強くあります。「飾るだけのデザインならするな」くらいの勢いです(笑)

丁寧なヒアリングからもそれは伝わってきます。
トライ&エラーで進めてくれるのはありがたいです。

成果物の反応はいかがですか。
システムの画面などは、かなりシンプルなデザインになりましたが。

はい、以前のあれもこれも感が嘘のように、黒ベースにボタンだけになっちゃいました。
でも何ごともドラスティックに変えると「前のほうがよかった」という人が必ず出るもの。
そっちに慣れているので。でもそういう意見は全然出てきません。
僕はそれってすごいことだと思うんですよね。「めちゃめちゃよかったね」という声はありませんが、十分受け入れられたと捉えています。

(以下、谷口さん)
もう誰も、以前の画面には戻れないと思います(笑)。私自身は昨年応募した『Datalympic 2018』のコンテンツ作りで密にお世話になりました。101社の応募作品から決勝5社に残り、優秀賞に輝くことができました。御社のデザインの力なくしてはあり得なかったと思います。

私たちもすごく嬉しかったです。「Datalympic2018」って何? という方もいらっしゃると思いますので、簡単にご説明をしていただけますか。

あっ、そうですね。弊社ではアンケートデータの一部をWingArc 1st社のMotionBoardというBIツールを使ってクライアントに提供しています。MotionBoardは膨大なデータの可視化機能に優れており、弊社の多様なデータを自在に分析できる仕組みを作っています。

『Datalympic 2018』はそのMotionBoardを使うことでデータにどんな価値を与えて世の中に貢献できるかを募ったコンテストでした。「社会貢献」「テクニカル」など5つの審査基準があったのですが、「デザイン」も審査基準のひとつでした。
それも「人の気持ちを動かすようなデザイン」という但し書きがついていました。

人の気持ちを動かすというのはなかなかハードルの高い但し書きです。

データをグラフにしたりは自分たちでもできることですが、やはり見せ方には限界があり、このまま応募してもいいのだろうかという思いがあって、相談させていただきました。
「丁寧にわかりやすく」というご意見をいただき、普段当たり前に使っている医療用語や、社内では普通に伝わってしまう専門的な事柄ひとつひとつ見直しました。
おかげさまで『データからだLIBRARY』と称して、医療オープンデータを活用してセルフケアを促すダッシュボードを作ることができました。「痛風ダッシュボード」とか「肺がんダッシュボード」とか。日本には無料で使える医療オープンデータがたくさんあるのですが、まだまだデータのプロが見ても難しいものがほとんど。それがまさにデザインの力で、誰もが簡単に確認できるボードになりました。
色の使い方、余白の取り方etc.「さすがプロだな」と思うことしきりで。
応募にあたっては、デザインの部分ではかなりの自信をもって臨むことができました。

東京大学とタッグを組んでの応募だったんですよね。

はい。東大にはデータを提供していただいて、「病気が気になったら見てねチーム」で参加しました。東大の方々も、「難しいデータも、デザインでこんなふうに見せられるんだね。すごいね」と喜んでいました。

それは嬉しいですね。今日はこの後、次の制作物のお打ち合わせをさせていただくのですが、今後の弊社との関わりで何かご要望はありますか。

(佐藤さん)
あります(笑)。量的にそこそこの発注ができてきているので、それにあわせて「コストパフォーマンスがよくなっていく」みたいな話があると、スタッフ部門を納得させやすいというか。同じ会社さんに集中してお願いしていると、社内プロセス上「ちゃんと精査しているのか」という話はどうしても出てきてしまうので。デザインがいいからだけだと、正直理由になりにくいところがあります。

(谷口さん)
『Datalympic 2018」でも感じましたが、作るにあたってわからないことはわからないと聞いてくださり、理解してデザインに反映していただけるのはありがたいです。
曖昧にせずにやってもらえる安心感があります。これからも密なコミュニケーションを取りながらご一緒できたらと思っています。

ありがとうございます。佐藤さんのお話は会社が大きければ関わる方々も多いわけですから、私たちも想像力を働かせなければと思います。今後ともよろしくお願いします。

ご協力いただいた企業様

株式会社インテージヘルスケア
執行役員 リサーチコンサルタント 佐藤暢章様
アソシエイトディレクター    谷口絵里香様

(2019.4に株式会社アンテリオさまから社名変更)

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WEB

困難な条件の中でも「いいものを作ろう」とする
熱意が伝わってきて感動しました。

三井不動産株式会社
ビルディング本部 運営企画部 事業グループ 統括 清水剛様
複合商業施設、不動産

三井不動産のオフィスビルHPを数多く制作・保守管理している実績をかわれ、オフィスビル「大崎ブライトタワー」と「大崎ブライトコア」、商業施設「パークシティ大崎ショップ&レストラン」、計3案件のHP制作をご依頼いただきました。ご担当は三井不動産の清水剛さん。HP制作の指揮をとられるのは初だったという清水さん。それぞれのオープンが迫るタイトなスケジュールの中で、弊社の印象についてお伺いしました。

御社とは長年お付き合いさせていただいていますが、清水さんとは初めてのお仕事でした。弊社の第一印象はいかがでしたか?

HP制作の担当経験がゼロ。そんな私のプロフィールをご存知なかったにもかかわらず、ひと言ふた言お話して、すぐお気づきになったのでしょう。専門用語を使わず、難しい話をなるべく省いて、口頭で打ち合わせたものをすぐ絵にしてくださったり、すぐ画面上で見られるようにしてくださったりして、素人の私にもわかりやすいやり取りをしてくれた。とても助かりました。コミュニケーション能力の高い方たちだなというのが、私の第一印象です。

私たちは清水さんのご決断の早さに助けられました。

無知なことに対して、どこまで分からないのかを説明するほど難しいことはありません。その点、無駄な回り道をさせず、スムーズに話を進められるよう導いてくださった御社に対して、すぐに信頼感を持てたことが、私が私の仕事に専念できた理由です。また、複数考案いただいた中から、いつも3択程度に絞って良質な提案をしてくださるので、決断がしやすかったというのもあります。あと、押し付けがましくないんですよね。私に委ねてくださる。私が御社を信頼していたのと同じように、御社からも信頼されているんだと思えたことで、担当者として自信を持って指揮をとることができました。

オフィスビル2棟のHP制作期間は2週間、商業施設のHP制作期間は3ヵ月と非常にタイトでした。

正直、妥当な制作期間すら知らなかったので「きっと無理を言っているんだろう」とは思いつつ…。制作期間がタイトな上に、名称など未決定な部分も多く、テナント情報も五月雨で到着する。制作後に情報の差替えが多発する。それに対して御社はよく辛抱してくれました。無理を言っても、煮詰まっても、いつも笑顔で出来る事、出来ない事を明確にしてくださったのが印象的です。結果、最短で最良のHPが出来たと思っています(笑)。

私たちが印象に残っているのは、アクセスマップ作りのために、紙の地図を片手に清水さんと商業施設周辺を歩き回ったことです。

あぁ、ありましたね!既成の地図だと分からない部分も多くて、「百聞は一見に如かず」と会議室を飛び出し「ここが一通で、こっちから車が来るから…」と歩き回って、新しい地図を起こしていただきました。懐かしいですね。お陰様で御社制作の地図はとても分かりやすいと好評で、品川区の再開発組合から流用したいとの申し出までありました。

商業施設のHPに掲載する写真のロケハンにもご同行いただきましたね。

「パークシティ大崎ショップ&レストラン」の3棟のビルとシンボルツリーのオリーブの木が入る構図を探して、近隣ビルの屋上から、デザイナーの方が身を乗り出して写真を撮った時はひやひやしました(笑)。後から聞けば高所恐怖症だと言うじゃないですか。あの時は御社のクリエイティブ魂をひしひしと感じました。タイトな中でも「いいものを作ろう」とする熱意が伝わってきて感動したのを覚えています。

商業施設のグランドオープン、そしてHP公開から3ヵ月が経ちました。反響はいかがですか?

なによりテナントさんが喜んでいます。キレイだし、センスがいいと社内外でも評判です。また運用(情報更新)のしやすさまで考えて設計してもらったことで、訪れるお客様にとっても旬の情報が受け取れる有益なページになりました。

3案件の終了後、お忙しいのに打ち上げを企画してくださって、スケジュール調整までいただいて恐縮しました。

パークシティ大崎のレストランで打ち上げをやりましたね。案件ごとに毎回やるわけではないんですよ。仕事が済んだから「はい終わり」という別れ方はしたくないと御社に対しては思ったんでしょうね。同志とか戦友といったら大げさですけど、それに近いほどがっつりとタッグを組めた実感がありました。

本当にお世話になりました。また清水さんがどこかの地区のHP制作のご担当になられた際には、タッグを組ませていただけると嬉しいです。

ご協力いただいた企業様

三井不動産株式会社
ビルディング本部 運営企画部 事業グループ 統括
清水 剛様
三井不動産株式会社様  WEB SITE
パークシティ大崎 オリーブテラス  WEB SITE
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WEB

客室数15室の小宿で、年間464室、29.4%のお客様増。
1年で回収できてしまい、驚いています。

有限会社柏屋
代表取締役 柏原益夫様
飲食・宿泊

木造二階建て。郷愁を誘う昭和の香りが漂う群馬県四万温泉の「柏屋旅館」。15年使い続けたホームページのリニューアルに取り組んだのは2013年でした。「写真集を出すくらいの気持ちで。そしてメッセージを届けよう」という思いを込めて作ったホームページは、売り上げ増、直接予約増、利益率増という3つの「増」を生み出しました。スタッフの方々の認識も変わり、最新情報やブログの更新も自分たちで。鮮度のあるホームページは、お客様とのコミュニケーションにも役立っているそうです。

初めて柏屋さんをお訪ねした時に感じたのは、ホームページの印象と実際の柏屋さんとのギャップでした。こんなに昭和レトロないい雰囲気なのに、もったいない感じがしました。

実は私、工学部を出ているんです。それで簡単なホームページくらいは作れる知識を持っていたものですから、以前のホームページは自作。柏屋に入社してまもない98年頃に自分で作ったものでした。旅館業界はホームページ化が遅かったので、手弁当であれ当時は先駆けでした。ただ、そのままリニューアルせずに15年。スタッフのユニフォームを変えたり、個性的な宿泊プランの充実を図ったりと、旅館のブランディング優先で、後回しにしていたのがホームページだったのです。「ホームページを新しくしたのに、営業につながらない」という同業者の声も少なくなく、後発で同じように作っても結果は見えていました。そんななかでデザインエイエムさんとのご縁がありました。なぜ、デザインエイエムさんに依頼したか。それは「ホームページ制作会社じゃなかったから」です。

たくさんホームページは作らせていただいていますが(笑)

もちろん存じ上げていますが、御社はブランディングがベースにあって、その一部分としてホームページがあり、ロゴ制作がある。三代目に就任してから、ブランディングを進めてきた私にとって、デザインエイエムさんとの出会いは願ってもないことでした。いざ始動となって、まず気持ちよかったのはヒアリングの丁寧さでした。「一度サイトに来ていただいて、それっきりにならないこと」「ちょっとした入れ替えや更新は、自分たちでしたい旨」などをこちらの希望をくまなく伝えました。デザインエイエムさんのリードで、私の印象に残るのは、“人が出てくる”外国のホテルやレストランのホームページだということにも気づけました。日本の旅館のホームページには、人がほとんどいないのです。そこから誰もいない露天風呂の写真を載せるのではなく、人の気配や温かみを感じていただけるような写真や演出で見せていくことになりました。その時の高揚感は、忘れられません。

写真をすべて撮りおろすことになり、その分のコストもだいぶかかりましたが、そこはどう思われていますか。

確かに、費用かかりました(笑)。でも、けちらなくて本当によかったです。お金をかけていいものを作った甲斐あって、なんと1年で回収できてしまいました。驚いています。こんなことなら早く頼むんだったと。ただ、デザインエイエムさんとやれたからの結果だと感じています。どこに、だれにお願いするかはものすごく重要だと思います。

具体的な数字をおうかがいしてもいいですか。

1日のアクセス数は1000〜2000件。これは以前と大差はないのですが、滞在時間やページビューは全然違います。予約に至る動線も考えていただいたことで予約率は0.5%に。1.2倍に増えました。年間464室、29.4%のお客様増です。15室の宿で。もちろん予約サイト、OTA(Online Tarvel Agency)経由のご予約も大切なお客様です。ただそこには手数料が発生しますし、OTAに依存しすぎない経営が理想です。OTAに頼りすぎると、自社の販売力は弱まるのが常ですから。ホームページからの予約のお客様では、リピート率も違うんです。

嬉しい報告です。実際においでいただいたお客様の評判はいかがですか。

「ホームページのイメージ通り」とのお声を頂戴しています。期待と実際の差がそんなにないみたいです。そういう言葉を聞くと、初めての方にとってホームページというのは重要な判断材料なのだということを改めて感じます。旅館業は通信販売みたいなもの。商品が届くか、来ていただくかの違いです。過度に期待させて、行ってみたたらがっかりでも困ります。かといって、期待がなければ予約にはつながりません。「きれいに見せることより、柏屋を見せることを」「極端な表現はいりません」「ほんのちょっと期待を高めるくらいの感じ」「ホームページは情報だけではなく、空気感も伝える場」「おしつけではなく、お客様が選べるホームページを」等々。一緒に作っていくなかで、投げてくれた言葉の数々を思い出します。

きれいすぎても、出し過ぎても。そこのさじ加減はとても大切だと思います。なにごともtoo muchは、息苦しいものです。スタッフの方々が更新しているブログも自然でいいなと感じています。

こちらからの要望であった「自分たちでメンテナンスできること」をかなえていただいたおかげで、スタッフブログの更新も随時できています。それが「あっ、この間ブログ書いていた◯◯さんですね」など、お客様とのコミュニケーションにも役立っています。 想定外でよかった、というか驚いているのは採用につながっていることです。兵庫には城崎温泉も有馬温泉もあるのに、伊丹からの応募もありました。「なぜうちに応募されたのですか」と聞いたら、「ホームページのビジュアルが良かったうえに、内容もけっこう濃くて、こんな旅館だということがイメージできたからです。働いている人たちの様子も見えて、こういうところだったら私も働いてみたいと思いました」と。今、うちでしっかり仕事をしてくれています。

そんなことが。見える化は大事ですね。こちらも身が引き締まります。きょうはありがとうございました。最後に、今後の課題があったら。

そうですね。SEO対策と、真面目にやらなければと思っているのがスマホ対応です。スマホで見る人の率がすごく上がっていて、50%がスマホの時代です。あとは、季節ごとに写真を入れ替えていけたらと。四万温泉は四季が楽しめる場所。冬の雪も実際はたいしたことなく、冬の四万も格別です。

豪雪でアクセスが大変と思っている方もいるかもしれませんね。ぜひお手伝いさせていただきたいと思います。

ご協力いただいた企業様

有限会社柏屋
柏屋旅館 群馬県吾妻郡中之条町四万3829
TEL/0279-64-2255

アクセス/車で関越自動車道渋川伊香保IC〜約60分、JR吾妻線中之条駅から四万温泉行きバス約35分

有限会社柏屋様  WEB SITE

代表取締役
柏原 益夫様
1961年、四万温泉生まれ。
群馬大学工学部卒。2007年、代表取締役就任後、WEB戦略、個性的な宿泊企画などを立案、販売することで売上を伸ばし注目を浴びる。2010年より、(社)四万温泉協会長。柏屋旅館での成果を小さな旅館、小さなお店の活性化に生かしてもらおうと、講演活動にも力を入れる。得意なスポーツはスキー(元アルペンレーサー)。

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WEB

プロの仕事の真髄に触れながら、
完成したホームページ。
おかげさまで今年は「研修医」も
苦戦することなく十分集まりました。

慶應義塾大学医学部 整形外科学教室
医学博士 特任教授 名倉武雄先生
ヘルスケア・医療

信濃町の慶應義塾大学病院内にある整形外科学教室。「5年以上使ってきたホームページをまるごと作り直したい」というお話で、新たなデザイン制作をお手伝いさせていただきました。指揮をとってくださった名倉武雄先生はホームページ委員を組織してくださり、医局の先生方には多大なご協力をいただきました。おかげですべての写真を撮り下ろし、権威ある先生方の実績や研究内容などをわかりやすく網羅したものになりました。名倉先生はホームページの編集後記に「デザインと見やすさにこだわり作成を進めました」と記してくださっています。

弊社でお手伝いさせていただいたホームページの公開から、早2年(2015年4月現在)です。反響はいかがでしょうか。

私たちはホームページで商売をしているわけではないので、何が売れたとか、前年比何%UPとか、そういうお話はできませんが、草の根的にじわじわきいている感覚があります。おかげさまで「研修医」も今年は十分集まりました。絶対的にホームページの力は大きいと思います。ホームページ自体の反響もとてもいいです。あちこちから「かっこいい」とか「内容がいい」と言われ、「どこで作ったんですか」という問い合わせもたくさんきます。私自身もいろいろなところのホームページを見ていますけれど、うちのは本当にかっこいいなぁ、素晴らしいなぁと思います。

こちらも嬉しいです。弊社に最初にお問い合わせいただいたのは、名倉先生が前任の先生から広報委員を引き継がれた時でしたね。

以前のものはフラッシュがちゃんと見れないなどの問題を抱えていました。デザインも全然いけてなくて、初めから作り変えなきゃダメでしょ状態でした。とはいえどこに頼んだらよいものやら。迷っていたら、以前研修医募集のポスター制作を御社に依頼したドクターが「素晴らしくいい仕事をしてくれる会社がある」と教えてくれました。インターネットで探したところと合わせ、実際は3社から相見積を取りました。そこでとにかく驚いたのは価格がピンキリだったことです。御社は真ん中で、1社はケタ違いの安さでした。
いったいこの価格の違いは何なのか。疑問に対して、御社から受けた説明は写真のクオリティやデサインの細かなディテールの違いということでした。確かに、そういう目であちこちの医局のホームページを見ると全然違いました。一般的に医学部とかって、広告に興味がなく専門知識もありません。安けりゃいいやと頼んでいるところも多いと思います。手弁当で作っているところなども、すっかり見分けがつくようになりました。

名倉先生から真っ先にいただいたオーダーは「とにかく写真は全て撮りおろしたい」でした。

以前、医局アウトルック(冊子)の編集委員をやった時のことを思い出しましてね。その時知ったのが、とにもかくにも写真が大事だということでした。デザインをお願いしておいて失礼な言い方かもしれませんが、イメージって写真のクオリティでかなり決まりますよね。なのに「いったいこれいつの時代?」っていう古くさい写真や、寄せ集めの写真を使っているところがけっこう多い。その点でも、デザイナーさんのディレクションによって、カメラマンさんにはいい仕事をしてもらいました。いい写真とそれを活かすデザインで本当に素晴らしいものができあがりました。

名倉先生には撮影のスケジュール調整に、全面的にご協力をいただきました。

先生方の協力があってこそ撮れた写真もたくさんあります。手術中の写真もそうですが、スケジュール調整でいちばん大変なのは総勢40数名のドクターの集合写真でした。予定ぎっしりのドクターを一同に集めるのは至難です。あちらを立てればこちらが立たず。結局、毎週水曜日に行なわれているモーニングカンファレンスの前しかないということで、6時半に全員集合で早朝撮影を行いました。これまで集合写真は2回更新しましたが、屋外撮影なので天気もドキドキもの。今掲載されている集合写真は、降水確率80%の雨天の中、写真を撮る瞬間だけ天気の女神が微笑んだ奇跡の一枚です。

ホームページ制作に携わって、お感じになっていることはありますか。

これを作るまで、僕はすっかり昔の人でした(笑)。今の時代はこうしたほうがいいということがたくさんありました。フォントひとつをとっても「字が小さすぎるのではないか」と言ったものがあったのですが、御社は実はタブレットやスマートフォンで拡大して見たときの美しさまでを鑑みてデザインしていることがわかりました。確かに今の時代ホームページを見るのはパソコンに限ったことではありません。スライドショーに対してもうるさい印象があったのですが、でき上がったものは実にスマートで全くうるさくありませんでした。それどころかストーリー性があって想像力がわくものでした。十分な余白からは品格や清潔感が伝わってきます。どこまで気合いを入れるかは好みの問題ですが、安価を優先していたらこの完成度、この満足感は得られなかったと言い切れますね。

身が引き締まるお言葉です。ところでアップデートは順調に行なえておりますでしょうか。

うちは人がしょっちゅう変わるので、更新も随時。かなり細かくお願いしていますが、対応は素早いです。飽きがこないようにと、写真の差し替えもお願いしていますが、全体のバランスが崩れないように差し替えてくれています。
最も近々の更新は教授が二人体制になったことによるマイナーチェンジでした。1月に松本守雄教授、2月に中村雅也教授が相次いで教授に就任され、全国でも稀なツートップ体制となったことを受け、お二人がイーブンな立場で協力した新体制でやっていくことを全国に発信する必要がありました。あまり時間のない状況でしたが入念に案を練り、デザインエイエムさんから良いアイデアを出していただけたおかげでこちらの意図を汲んだページが出来上がりました。広報委員として私の最後の仕事になったのですが、これは非常にインポータントジョブでした。

ありがとうございます。名倉先生は今回のアップデートを最後に広報委員から離れるとお聞きしました。

これでやっと研究に専念できます(笑)が、勉強になった2年ちょっとでした。広報の大事さもわかったし。うちはアップデートも多いから、その点も含めて信頼できるデザインエイエムさんに頼んでよかったと心から思っています。説明会の動画を付けたコンテンツなんかも加えようという意見もあるので、後任に託します。

本当にお世話になりました。引き続きお手伝いさせていただきます。

ご協力いただいた大学様

慶應義塾大学医学部 整形外科学教室
TEL/03-3353-1211
アクセス/東京都新宿区信濃町35
慶應義塾大学医学部 整形外科学教室様  WEB SITE

医学博士 特任教授
名倉 武雄先生
慶應義塾大学医学部 整形外科学教室基礎研究グループにおいて、3次元動作解析装置を使って運動器疾患や外傷の動作解析、未固定屍体標本による手術の生体力学的解析などを行っている。1992年慶應義塾大学医学部卒業。1999〜2001年スタンフォード大学工学部留学。

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BRANDING / LOGO / WEB / GRAPHIC / OTHER

どんなに優秀なデザイナーと言われても
それだけでは一緒に仕事をしようとは思わない。
合う、合わないがあって当然だから。
溝田さんはビジネスの垣根を超えた
ものづくりをしてくれる人。
僕のクリエイティブ魂は嬉しくて振るえっぱなしだった

映画「うまれる」シリーズ
企画・監督・撮影 豪田トモ様
広告・制作, 芸能

公開から4年半、映画「うまれる」はすでに40万人の観客を動員し、二作目の「うまれる ずっと、いっしょ。」も全国各地で上映会が続いています。監督は「命と家族と絆」をテーマに、関係性のドキュメントに焦点を当てることを常とする豪田トモ氏。デザインエイエムでは代表の溝田がアートディレクターとしてタイトルロゴに始まり、本編内の文字デザインから、告知・宣伝用のウェブサイト、チラシ、ポスターなどの各種デザインをお手伝いさせていただきました。出演の方々はもちろん、外のスタッフとの“関係性”にも心を配る豪田監督との時間は「濃密で豊かな時間だった」と語る溝田ですが、監督ご自身にも当時を振り返りながらお話を伺いました。

一作目の「うまれる」に続き、二作目の「うまれる ずっと、いっしょ。」も好評で、ご一緒させていただけた弊社としても本当に嬉しいです。

ありがとうございます。「命と家族と絆」というテーマは、本当に広くて深く、到底一作品では表現しきれません。2040年までシリーズでつくり続けていきたいと思っています。一作目、二作目ともにドキュメンタリーになりましたが、この先は役者さんを立てるかもしれないし、アニメ版「うまれる」ができるかもしれません。「うまれる」が公開した2010年に生まれた子どもが30年後、親になる頃まで、いろいろなパターンでつくってみたいと思っています。溝田さんにはアートディレクターとしてコンセプトづくりから入っていただきましたが、定例会にも参加してもらい、一緒につくりあげた感が本当に強いです。
なぜ溝田さんにお願いしたか。我々がやろうとしている企画に対して理解をし、共感をし、一緒に考えてくれる「同志」としての感覚を覚えたからです。何人か他の方とも話をしましたが、僕には群を抜いて波長の合う人でした。

溝田と豪田監督とのおつきあいは、弊社からお願いした映像制作のお仕事を受けてくださったのがきっかけになりました。

沖縄ロケでした。言葉だと表現しきれませんが、その時も作品に対して絶対的なものをつくるんだという、互いのクリエイティブ魂がすごく合う人だと思いました。これはあくまでも持論ですが、ビジネスだけで一緒に何かを作った時って、結果はせいぜい超高層ビルの高さがMAXだと思うんです。それが「同志」になると、雲の上まで突き抜けて行く可能性が出てくる。普段のフィールドは違っても「同志」のような感覚がものづくりにはとても必要なことだと思います。
結局、ロゴ、タイトル、パンフレット、メインビジュアル、Webサイト、ポスター、チラシ、映画内エンドロール、書籍の装丁等々、デザイナーが必要なところは全部お願いしました。溝田さんは「映画の仕事は初めてだ」とおっしゃっていましたが。

大きな仕事をさせていただいたわけですが、「映画は初めて」のデザイナーに対する不安はありませんでしたか。

不安どころか、わくわくでした。映画というフィールドは、大きいといえば大きいですが、厳密に言えば細かい仕事です。あれも作って、これも作って、それもデザインして。本来であれば「こんなイメージで」とか、「文字数はこれくらいで」とか、ディレクションを必要とするところも、溝田さんは僕の考えを“2”伝えると“10”わかってくれる人です。残りの“8”の説明を省けるからいいという意味ではなく、曖昧な部分も感じとってくれるという意味です。それはふたりの波長が合うからで、他の人がどうかはわかりませんが、「僕はそうでした」とお伝えしておきたいですね。

実際に制作を進めて行くなかで、お感じになったことは。

一番感じたのはデザイナーの枠を超えた仕事ぶりですね。彼の頭の中にあるのは、どうデザインするかとか、どうレイアウトするかではなく、どう伝えるか、どうしたら伝わるか。視点が深いんです。たとえば一作目の「うまれる」は、18トリソミーという障害を持ってうまれた、虎ちゃんという小さなお子さんを育てるご家族の写真をメインビジュアルにしました。虎ちゃんは一生涯、言葉を話す事が出来ないと言われているんですが、映画のコピーを考えるとき、溝田さんは「虎ちゃんがもし言葉を発することができるとしたら、彼は何が言いたいだろう」ということにまで踏み込んで考えてくれていました。ご提案いただくすべてのことに気持ちがこもっていて、はっとしたり、ぐっときたり。おかげで添えた題字の「うまれる」にも生命が宿るビジュアルとなりました。

「虎ちゃんには一瞬にして魅了された」と言っていました。「映画の本筋ではなかったかもしれないけれど、虎ちゃんには圧倒的に惹きつけるものがあった」と言っていました。

実際その通りでしたし、溝田さんはふだん口数が少ないだけに、しゃべったときの説得力がハンパない。的を得ているし。実は僕、二作目の「うまれる ずっと、いっしょ。」のテスト試写の時に、溝田さんにばっさりと斬られましてね。でも、あそこで斬られたからこそ、作品の完成度がぐっと上がったんです。
  テスト試写とは、公開前に一般の人にフィルムを見てもらって忌憚のない意見や感想を聞く場です。料理が出来上がる前に食べてもらうようなものなので、どの監督も完成前テスト試写をやる事はたいがい嫌がりますよね。

ただでさえ針のむしろのような場で、監督を斬るなんて。「俺が監督だ」って思いませんでしたか。

ははは。斬られて痛かったですよ。
「うまれる ずっと、いっしょ。」は3組の家族のドキュメンタリーで、そのうちのひとつが、奥さんに先立たれて泣き暮らしていた65歳の男性が、悲しみの底から回復していくお話。実際、その男性はカメラを回している間、特に最初の頃はずっと泣かれていました。当然、試写のスクリーンに映し出されるほとんどが泣き顔でした。それを見た溝田さんは、「いい大人がめそめそ泣いている話は、あんまり惹きつけられない」とばっさり。おっしゃる通り。溝田さんの一言で「ああ、そういう視点もあるのか」と考えることができ、方向性を変えることもできました。「いい大人のめそめそ」が必要以上に観客の脳裏に焼き付き、試写の時の溝田さんと同じように感じる人がいたら不本意です。どの仕事もそうだと思いますが、「違う」という指摘があった時、どう対応できるかって大事だなと改めて思いました。

二作目も映画の評判はとてもよく、あちこちで自主上映会が開かれていますが、タイトルやデザインに対する声は聞こえてきたりしますか。

題字のデザインは本当にたくさんの方が「いいですね」と言ってくださっています。「この映画にとっても合っていますね」とも。「うまれる」という字に込めた意味ですが、“点と点を結ぶラインはそれぞれの人生。命をつなぐへその緒でもある”なんていうところまで、溝田さんが考えてデザインしたとまではみなさん知りません。それでも無意識のレベルで何かを感じ取ってくれているから、そう言ってくれるのだと思います。
あとは「ドキュメンタリー映画なのに映像がきれい」と言ってくださる方も多いです。素人の方でも作ろうと思えば作れないことはないドキュメンタリー映画って、とかく低予算で泥臭い映像になりがちですが、デザインワークによって統一感が出たことで、全体のイメージ・レベルがきゅっと上がったのも確かです。

ありがとうございました。監督の頭の中には「うまれる」第三章が描かれ始めているようですが、今後、溝田に期待することはありますか。

僕の中には継続的にこうしたテーマで作品を世に出すことで、何かしらのお役に立てたらという気持ちがあります。当然、溝田さんともまたご一緒させていただきたいと思っています。でも、作品によっては他の方にお願いすることもあるかと。それでわだかまりができる人ではないし、信頼関係が壊れることもないと思います。期待することは「いままで通りで変わらないでください」ですね。

ご協力いただいた企業様

映画「うまれる」シリーズ 企画・監督・撮影
豪田トモ様
「人と地球に優しい映像」をテーマとした映像プロダクション「インディゴ・フィルムズ」代表。1973年、東京都生まれ。大学卒業後6年間のサラリーマン生活を経て、29歳でカナダへ渡り4年間映画製作を学ぶ。在カナダ時に制作した短編映画は日本、バンクーバー、トロントなど数々の映画祭にて入選。帰国後はフリーランスの映像クリエイターとして、テレビ向けドキュメンタリーやプロモーション映像を手掛け、2008年秋よりドキュメンタリー映画「うまれる」の製作を開始。著書に「うまれる かけがえのない、あなたへ」(PHP研究所)、「えらんでうまれてきたよ」(二見書房)がある。
ドキュメンタリー映画『うまれる』  WEB SITE
ドキュメンタリー映画『うまれる ずっと、いっしょ。』  WEB SITE
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BRANDING / LOGO / WEB / GRAPHIC

到底一人では叶わなかった
最高のリブランディングができました。
そして、営業も社員の志気もまったく変わりました。

株式会社アキヤマ
代表取締役 秋山延久様
建築業・製造業

既存建物の「解体」「改装」「再生」を事業の3本柱として、数多の安全施行実績を積んできた株式会社アキヤマ。「ホームページを変えたい」というご依頼に、弊社は「ロゴマークを変える」というご提案を加えさせていただきました。秋山社長のお話を聞くにつれ、社長の思いとロゴとホームページが三位一体となることで、ゆるぎない発進力が生まれると感じたからです。時に、ご依頼の枠を超えたご提案をさせていただく弊社ですが、心掛けているのはお客様が「YES」も「NO」も躊躇なく言える場づくり。本音勝負の秋山社長のおかげで、弊社としても理想的な仕事をさせていただきました。

御社からご連絡をいただいたのは、2013年の年末。
「設立15周年を機にホームページを新しくしたい」とのお話でした。

企業の生命力は30年と言われます。そんななかで我が社は15周年という極めて重要な節目の年を迎えようとしていた時でした。会社の業績は順調だけれど、この先の100年続く経営をどう展開していくべきか。ここでじっくり考え、しっかり発信していかなければと思い、事業方針を再構築しホームページの一新をお願いした次第です。
アキヤマの同業者は腐るほどいます。熾烈な世界ですが、安全品質や気配り施工の推進に信念を込めて取り組み、右肩上がりで業績を伸ばしてきました。ただ、「企業ブランド」や「発信」ということに対しては、知識も考えとても浅かったと思います。見事なリードで、そこに気づかせてくれたのが溝田明というひとりのデザイナー。ロゴを変えるなんていう発想は、私には全くなく、最初に「この際ロゴマークを変えませんか」と言われたときは、「はっ? どういうこと」と思いました。15年使ってきた愛着もあります。このままでもいいのではないかと…。一瞬「頼んでないぞ」とも思いました。

でも、社長は決断してくださいました。

「自分たちのポリシーをそこに刻むことで、ロゴは意味を持ち、ロゴは生かされていく」という話を聞いて、その通りだと思ったからです。世の中にロゴマークはあふれています。でもそのなかに、会社のコンセプトや立ち位置を明確にしているものはどれだけあるでしょうか。
提案いただいたロゴのデザインは、アキヤマのポリシーが表現され、目指す象徴的な姿をしていました。溝田さんからは「Aクラスの象徴である3つのA(トリプルA)に、解体・改装・再生の3つの事業が重なり合ってバランスをとりながら、上へ上へと高く伸びていく様子を表現しました」と説明を受け、一瞬で刺さりました。これほどシンプルなマークに、これほど深い思いを込められるものかと、デザインエイエムの真骨頂を見せられ、100%OKの「YES」とともにアキヤマのブランディングはスタートしました。
ロゴを変えることになり、ホームページの刷新にも士気が上がりました。俺たちの職業はデザインなんてものとはほど遠い存在だけれど、やるなら今のものを取り入れて、5年10年対応できるものを整えようじゃないかと。そしてロゴとホームページは一緒じゃなかったら、ここまで明確な発信はできなかったと言いきれます。

ロゴマークを大変気に入ってくださって、当初予定のなかったタオルやゴルフボールなどノベルティまで作っていただきました。

戦国武将たちは紋章を愛し、また藩旗を掲げて戦国時代に臨みました。ロゴを作ってもらって、私は似たようなものを感じました。我々は戦に出るわけではないけれど、ロゴは一致団結して仕事や活動をしていくためのリード。日本人にはこういうシンボルを重んじるDNAがある。多くの人がそこ気づいて、それを受け入れて発信していったらいいと思いますね。実際これができてから発信力が違います。
それからもうひとつ、ロゴはプライドの象徴だと思います。自慢や満足をさすプライドじゃありませんよ。自分自身の中で確固たるものをもつという意味でのプライドです。ビジネスにおいて人に認められるには、プライドは絶対必要なものです。
余談ですけれど、ゴルフボールはこのロゴをピンに向けてショットすると、会社も真っ直ぐ飛距離を伸ばしていけそうなナイスショットな気がします(笑)。タオルは特に職人に好評で、これで汗を拭くと現場で気合いが入るらしいです。デザインの力って、すごいですね。

制作プロセスで、不安や疑問は生じませんでしたか。

ヒアリングをしていただきながら、私は「あれを出したい」「これも出したい」と言いました。すると溝田さんは「これは削ぎましょう」「これを省きましょう」と来る。こっちは「足したい」といっているのに。でもね、削ぐ作業をしていくと、確信が見えてくるんです、本当に。発信に必要なことって、いかに早く的確に伝えるか。確信に迫ると、本質が見えてくることを思い知りました。で、ホームページやパンフレットを見た時、人が知りたいのは、アキヤマが何をしてくれるのかです。専門用語を並べ立てた説明なんて、いらないのです。おかげで私の頭の中も整理できました。無駄を省き、伝えたいものをきちっと伝えることに徹した結果、社員にも、他者にも非常にわかりやすいものができあがりました。溝田さんはデザイナーである前に、名プロデューサー。本人は嫌がるかもしれないけれど、天才です。

先ほど「発信力が違う」とおっしゃっていましたが、効果実感はありますか。

あります。ロゴも会社案内もホームページも、大いなるきっかけになってくれています。我々の職業は静脈の産業です。美しくもなく、憧れの対象じゃありません。そんななかでこのロゴを見て「何屋さんですか」って聞かれること自体が、まずひとつの効果です。「社長の話とこのロゴってぶれがなくて、説得力がある」とも言われます。紙の質にもこだわった会社案内の印象も上々です。解体現場で働く男たちには10代もいます。自分の息子がアキヤマで働くことに親御さんたちにも安心してもらいたい。会社案内にはそういう気持ちも込めました。
人間には自分が最初に「いい」と思ったものに対し、「やっぱりいい」と納得したい心理があります。そして納得には安心が伴います。たとえば同業10社のパンフレットを見て「アキヤマがよさそう」と思ってくれたとします。次にホームページを見て中身がよければ「よさそう」が、「やっぱり、ここがいい」に変わります。よい中身とは、この会社は自分たちに何をしてくれるのか明確なことです。
さらに誤解を恐れずに言うと、我々の発進力で企業も人も勝手に期待を寄せてくれます。そういう意味では、営業が全く変わりました。もちろん実行が伴わなければ言語道断です。今後、我々はアキヤマのトリプルAをますます確実なものに磨き上げていかなければなりません。

今回のリブランディングに関しては費用もかかりましたが、そのあたりについてのご意見はありますか。

中身がよければいい。大切なのはそれに見合う意識改革をもたらしたか、社員が誇りを感じてくれるかです。統一感のある最高のツールを作ってもらって、私自身の意識が変わったことだって、十分な費用対効果です。それに作って終わりではありません。作ってもらったツールを、どう自分の誇りにしていくか。どう繰り返し発信していくかはこっちの問題です。自分が明確にしたポリシーに負けないよう、トリプルAを常に意識しながら突き進んでいきます。そのための発信の場として、会議室のコンセプトもデザインも一新しました。

こんなに心地のいい空間を作っていただいたことは、私たちも嬉しい限りです。ありがとうございます。

ここは、作っていただいたツールを活かしてアキヤマを発信していく場所です。ソファに座りながら、65インチの画面を見ながらお客様をもてなし当社のパフォーマンスを最大に発揮できれば、かかった費用がどうのなんて飛んでしまいます。ここに来るとみんなすごいんです、意見が。普通の会議室では出ないような意見がバンバン出るんです。
社員同士も大きな画面を共有してミーティングをしていると、クライアントへの興味も深くなるし、共通した認識が持てます。私の中には以前から、社員と協力して事業の魅力を高め、それを社会貢献につなげていきたいという思いがあります。それが、リブランディングによって確実なものになったこともお伝えしておきますね。クリエイティブで粋な土建屋で人を幸せにしていきます。

ご協力いただいた企業様

株式会社アキヤマ
東京都世田谷区玉川台2-3-20 第5YNビル5F
TEL/03-5491-4422

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株式会社アキヤマ 代表取締役
秋山 延久様
1999年に株式会社アキヤマを設立。

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LOGO / WEB / GRAPHIC

封を開けたくなるデザインの封筒は
優秀な営業マンです。
ニュースレターひとつをとっても、
ロゴの入ったきちんとした封筒で送ると、反応が違います。

社会保険労務士 片野誠事務所
片野誠様
コンサルタント・士業

近年は士業事務所専門にロゴを制作するデザイン会社もある中で、弊社を選んでくださった特定社会保険労務士の片野誠様。伺ったところ「誠」さんは、「短くて簡単だから」「呼びやすいから」という理由からの命名とか。「うちの親父らしい」と語る片野さんですが、お目にかかってこれほど「誠」という字が似合う方はいないと感じました。ロゴマークを筆頭に、名刺、2種類の封筒、ドアプレート、半纏作りをお手伝いさせていただいたのは2011年のこと。九段下駅から徒歩1分の好立地に事務所を構えた時期でした。

多くの選択肢がある中で、弊社を選んでくださった理由をお聞かせいただけますか。

確かに手軽に安く作れる時代ですが、私自身はそこに魅力を感じません。それなら自分で作るよという感じですね。実際、独立当初は先輩の事務所で間借り。フォトショップを使った自作のロゴからのスタートでした。封筒はただの茶封筒。もちろんそれでいいとは思っていませんでしたが、手軽さに飛びつく気持ちはありませんでした。ロゴは分身ですから。そうかといって資金もなく、結局、手弁当のロゴと茶封筒でやっていました。溝田さんとの出会いがあったのは、自分で事務所を構える目処がたった頃でした。
その時点で溝田さんのキャリアはすでに20年を超えていました。「私はデザインしかできません。けっして安くはありません。でも、結構すごい仕事します」と、静かに語るその姿に私は一気に引き込まれました。それを高飛車だと感じる人もいるかもしれませんが、私は、むしろこう言える人にお願いしたいと心から思いました。実際、溝田さんのこれまでの実績はホームページを見れば瞭然です。けれど胡座はかかない。人間性で魅了する。見た目も中身もかっこいい。しかも溝田さんの言う「デザインしかできません」は、「とっておきのデザインしかできません」の意。お願いしてみてそれがよくわかりました。

ありがたいお話です。どのような点にとっておきを感じていただけたのでしょうか。

大きくは2つ。まずヒアリング能力の高さですね。私自身のこと、仕事に対する思い、要望etc. アウトプットによって自分自身、頭の中を整理することができました。もうひとつは、プロフェッショナルならではの提案力。ロゴは100案以上出したものから5案に絞られ、なぜこのロゴなのかひとつひとつに納得の理由がありました。説明に偏りがなく、押しも全くありませんでした。今だに御社はどれがよかったのか存じ上げないくらいです。
結局どれも魅力的で、いちばんピンときたものを選ばせていただいたのですが、「片野さんはお名前もそうですけれど、誠実の誠という字がこれほど似合う人はいないと思っていました」の一言もとても響きました。私自身を見てくれた上での提案に喜びを感じましたし、実際、お客さんには誠心誠意つくしたいと毎日思っています。「誠」という文字を約2000年前の漢の時代をモチーフに仕立ててくれたところは、溝田デザインの奥深さを感じました。カラーに関しては「一点の曇りのない空色。嘘偽りのないブルーにしました」と。某印刷会社某デザイン会社の社長さんからは「青は青でもこの色はそうそう使わない」とお聞きしました。カラーも含めて自分だけのマークができました。

名刺、封筒、事務所のドアに貼るプレート、プラスαで半纏を作らせていただきましたが、ご満足いただけていますか。

私がお祭り好きということで、半纏はノリで作ってしまった感はありますね。法被を着て出て来たら、「来るところ間違えました」になり兼ねません(笑)。でも殺風景になりがちな事務所のディスプレイになっていますし、「男は背中で語る」じゃないですけれど、見れば身が引き締まります。
とまあ半纏はお遊びですが、封筒はいつまでも茶封筒を使っているわけにいかず、「えいやー」で作りました。いきなりハイグレードになって、「片野事務所、そんなに儲かっているのか」と。でもそれによって値引き交渉が起こるということは一度もありませんでした。それどころか信用につながり、ロゴはもちろんですが、ツール類がブランディングに一役買うことを痛感しています。ドアプレートを作るにあたっては、わざわざドアの採寸にお越しいただきました。集合ビルのドアの規格なんて、どこも同じようなものであろうに。「これぐらいでいっか」のおおよそ仕事はしない。作り上げていく過程をも大事にするのが伝わってきた一コマでした。

封筒のデザインは数パターンお出ししました。その中からロゴを封緘紙に見立てたデザインをお選びいただきました。

すごく面白いと思いました。それも安心して選べる面白さ。品格を保った遊びゴコロ。これは溝田マジックですね。「なんですかこの封筒。いいですね。どこで、誰に?」と、他の用件ついでではなく、封筒の話をするためだけに大企業の長年お付き合いのあるクライアントさんから電話がかかってきたりもしました。「わぁ、素敵」と持ち帰った方もいました。今、お客さんに送るものは基本全部これを使っています。手触りよく、すっかりこの封筒じゃないと落ち着かなくなっています。

追加発注のたびにコストもかかりますし、もともと「デザインエイエムは高い」と思われています。その点に対する率直な思いを聞かせていただけますか。

価格のことは正直よくわかりません。ただそれなりの専門家にこちらの思いを込めたものを作ってもらうとなったら、「安い」「高い」だけのジャッジは意味をなさないのではないでしょうか。私は、それ相応を支払ったがゆえに素晴らしいものを作ってもらえる体験をしました。
みなさんにお伝えするなら、まずは、作るか作らないかの選択。作るなら早めに。事業は生き物だからです。変なイメージを持たれる前に、ブランディングは最初からあったほうがいいと思います。ロゴや封筒が正しい印象を作り出してくれます。しかも唯一無二。ある意味オリジナリティの発揮どころです。

今後、弊社に期待することはありますか。

売り上げにもよりますが、2つあるホームページをどうにかしたいと思っています。以前ホームページビルダーを使って自分で作ったもので、実はロゴも入っていない状態です。ほかにも売り上げにつながる仕組み作りをあれこれ考えていて、統一感を持たせてやっていきたいと思っています。お手伝い願えたらと考えています。

ホームページも時期が来ましたらぜひお手伝いさせていただけたらと思います。本日はお忙しいなか、ありがとうございました。

ご協力いただいた企業様

社会保険労務士 片野誠事務所
東京都千代田区九段北1-2-2グランドメゾン九段501
TEL/03-5212-4610
アクセス/東京メトロ・都営新宿線「九段下」駅5番出口から徒歩1分

片野 誠様
特定社会保険労務士 片野誠事務所 代表。1972年 神奈川県相模原市生まれ。中小企業の総務部において、経理に約3年、人事・総務に約9年半従事。平成18年度社会保険労務士試験に合格。平成20年2月に社会保険労務士として開業。企業のバックオフィスを支えた経験を生かした的確なコンサルティングに定評。セミナー講師としても活躍。
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BRANDING / LOGO / WEB / GRAPHIC / OTHER

「こんなにシンプルでいいのだろうか」。
第一印象の迷いは、説明を聞いて一瞬で消えました。
イメージカラーの赤も次第に
「ユーロンレッド」 と言っていただける存在に。

Maison de YULONG / メゾン・ド・ユーロン
料理長 阿部淳一様
飲食・宿泊

赤坂の閑静な住宅街の一角に佇む「メゾン・ド・ユーロン」は、ヌーベルシノワの先駆として20年の歴史を持つ中国料理店です。ショップカードに始まり、続いて封筒とリーフレットと手提げ袋を、最後にウェブサイトのリニューアルをお手伝いさせていただきました(2010年)。ブランディングを手掛けるにあたってはイメージカラーを見直してイメージを統一し、インターナショナルを意識した名店にふさわしいご提案をさせていただきました。時を同じくして2010年11月にはミシュラン一つ星を獲得。「思い切ってツールを作ってよかった」と言ってくださっています。

名店として知られている「メゾン・ド・ユーロン」さんですが、この記事を読んでくださる方に向けて改めてお店のプロフィールをお聞かせ願えますか。

私どもは“ヌーベルシノワ”をコンセプトにした中国料理の店です。オープンは1995年。2008年新体制での再スタートとともに、料理長として再び腕をふるっております。あくまでも中華の調理法で、西洋の食材を使ったり、洋皿に盛りつけたり。フレンチのコース料理のように一皿ずつお出ししています。

代表の溝田は会食にも使わせていただいて「とにかく美味しい。担々麺なんかは、もう他のはいいやと思うくらい美味い」と言っております。

ありがとうございます。溝田さんには、以前から何度もご利用いただいておりましたし、デザインエイエムさんがブランディングを得意とすることは代表の松田からも聞いていました。当然、リスタートを機にショップカードやリーフレットやホームページを刷新したい思いはありました。でも、小さなレストランがそれをするには決断も必要で。実際、店内の改装に大きなお金を投じた我々には、一度に行なう予算はありませんでしたし。かといって、インターネットの格安パックでロゴやホームページを作ろうという気持ちにもなれず。初めは、以前からのホームページとショップカードを、住所と電話番号と地図を赤坂に変えて使っていました。
それから2年、リーマンショックからの回復を実感し始めた2010年の秋に「思い切ってブランディングをお願いしてみようか」ということになりました。といっても、最初にお願いしたのはショップカード。それでも、いつか御社に頼むことを励みにしていた私たちには「ついにこの時が来た!」の気分でした。心の中で小さなピースサインを出していました。

弊社としてはお店の実力と、外から見える印象の違いにもったいなさを感じていました。そこで「まずイメージカラーと店名の書体を整理しましょう」とご提案いたしました。

以前のショップカードには、くすんだ緑色が使われていました。なぜ、食欲をそそるとは言い難い鈍色を使ったのかは思い出せないのですが、御社からの提案は“赤色”への変更。初めて見せられたときは、インパクトに驚きましたが、「日本におけるヌーベルシノワを発信するレストランとして、中国・日本・フランスを想起させるような赤色」という説明を受け、なんだかじんときました。考え抜かれた赤。それも優しくて品のある赤でした。そして今や「ユーロンレッド」 と言っていただける存在にもなりつつあります。
一方、赤い四角の中に配置された3つの店名 (「Maison de YULONG」「メゾン・ド・ユーロン”」「酒家__遊龍」)は、素人目にはフォントを変えて打ち込んだだけに見えました。正直「ちょっとシンプルすぎないか。こんなにシンプルでいいのだろうか」と思いました。でも落ち着いて眺めて見れば、これもまた溝田マジックでした。イメージカラーの赤色の中にフランス語と誰もが読めるカタカナで店名が記され、「酒家__遊龍」と店名を説明する言葉が静かにハーモニーを奏でていました。それはうちのお店そのもので、ロゴにもなり得るものでした。「あぁ、これがデザインエイエムさんの考える、“削ぎ落として本質を伝える” ということか」と腑に落ちました。「実績を残してきた溝田さんが言うんだから間違いないんだろう」とも思いました。僭越ですが、この人は余白の使い方がすごく上手いなとも思いました。

ユーロンさんの料理は、中華でありながらフレンチのスタイル。白い器のスペースのなかにぽんと美しく料理が盛りつけられていますから、ホワイトスペースを生かすことは、いつも以上に意識しました。

ショップカードの裏面も、めいっぱい情報を盛り込まずにホワイトスペースを大切にするところには、白い器に盛り付けていく私自身の料理とシンパシーを感じます。しかも、そのホワイトスペースもただなんとなく設けるのではなく、ひとつひとつに説明がつくのです。懇切丁寧にじっくり話を聞いてくれたうえで、生み出される理由のあるデザイン、本当に気に入っています。

ありがとうございます。とはいえ途中、不安などはありませんでしたか?

こちらの話もじっくり聞いてくれて、ひとつひとつ丁寧に説明を加えながらやってくれるので、不安を感じることはなかったですね。ひと通りのものができ上がって今感じているのは、統一感があるとお客様の印象もぐっと上がること。意外と封筒や手提げなどを固めることによってブランディングの土台がしっかりするのだということです。ただうちは目下のところ物販がないので、手提げは食べきれなかった料理のお持ち帰り専用袋。それで手提げを活かすためにも、お土産になるものを作ろうという話が出ています。先に手提げありきのおかげで、仕事が増えそうです(笑)。

実は先日、ユーロンさんの封筒を見ていいなと思って覚えていてくださった方から「うちも作ってほしい」というご依頼がありました。検索をかけて、当社のホームページに辿りついたとのことで。

そういうこともあるんですね。オーナーの松田はできあがった当初「design by Akira Mizotaとか入れないんですか?」って聞いていましたよね。「そんなのは、いりません」ときっぱり断られましたけど。うちとしては素人の発想で、一流のデザイナーさんにツールを作ってもらっていることを、その時はちょっとちらつかせたかったんですけどね。

デザイナーの作品を作っているのではありませんから。ユーロンはあくまでもオーナーの松田さんやシェフ阿部さんの世界です。

そういうことをさらりと言ってのける。私個人は、ユーロンのツールが整理されてから、他のお店のショップカードなどにも目が向くようになりました。でもなかなか印象に残るものは少ないですね。そんななかで、うちのロゴを覚えていてくださってわざわざ検索にかけるとは。それだけ印象に残るデザインであることを改めて知るお話です。

最後になりますが、今後の展望などはありますか。

2010年、2011年と連続でミシュランの一つ星をいただきました。とてもありがたいことですが、溝田さんは「机の上のデザイナーにならない」とおっしゃるように、私は「星の上の料理人にならぬ」ようにやっていこうと思っています。

ありがとうございました。これからもパートナーシップを築いていけたらと思っていますので、よろしくお願いします。

ご協力いただいた企業様

Maison de YULONG / メゾン・ド・ユーロン
東京都港区赤坂4-13-18
TEL/03-3589-3955

営業時間/11:30~13:30L.O.(土・祝~14:00L.O.) 18:00〜21:00L.O 日曜定休
アクセス/東京メトロ「赤坂」駅から徒歩8分。「青山一丁目」駅から徒歩8分。「赤坂見附」駅から徒歩10分

料理長
阿部 淳一様
1964年東京生まれ。「東京會舘」を経て、「東京上海錦江飯店」で中国料理の知識と技術を習得、青山「オーセ・ボヌール」にて研鑽を積み、「炒めの達人」と評され注目を浴びる。1995年 「メゾン・ド・ユーロン」のシェフに就任。その後独立し「A-Jun」を立ちあげる。2008年再度「メゾン・ド・ユーロン」に招かれ、現在に至る。

メゾン・ド・ユーロン様  WEB SITE
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