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「こんなにシンプルでいいのだろうか」。
第一印象の迷いは、説明を聞いて一瞬で消えました。
イメージカラーの赤も次第に
「ユーロンレッド」 と言っていただける存在に。
赤坂の閑静な住宅街の一角に佇む「メゾン・ド・ユーロン」は、ヌーベルシノワの先駆として20年の歴史を持つ中国料理店です。ショップカードに始まり、続いて封筒とリーフレットと手提げ袋を、最後にウェブサイトのリニューアルをお手伝いさせていただきました(2010年)。ブランディングを手掛けるにあたってはイメージカラーを見直してイメージを統一し、インターナショナルを意識した名店にふさわしいご提案をさせていただきました。時を同じくして2010年11月にはミシュラン一つ星を獲得。「思い切ってツールを作ってよかった」と言ってくださっています。
私どもは“ヌーベルシノワ”をコンセプトにした中国料理の店です。オープンは1995年。2008年新体制での再スタートとともに、料理長として再び腕をふるっております。あくまでも中華の調理法で、西洋の食材を使ったり、洋皿に盛りつけたり。フレンチのコース料理のように一皿ずつお出ししています。
ありがとうございます。溝田さんには、以前から何度もご利用いただいておりましたし、デザインエイエムさんがブランディングを得意とすることは代表の松田からも聞いていました。当然、リスタートを機にショップカードやリーフレットやホームページを刷新したい思いはありました。でも、小さなレストランがそれをするには決断も必要で。実際、店内の改装に大きなお金を投じた我々には、一度に行なう予算はありませんでしたし。かといって、インターネットの格安パックでロゴやホームページを作ろうという気持ちにもなれず。初めは、以前からのホームページとショップカードを、住所と電話番号と地図を赤坂に変えて使っていました。
それから2年、リーマンショックからの回復を実感し始めた2010年の秋に「思い切ってブランディングをお願いしてみようか」ということになりました。といっても、最初にお願いしたのはショップカード。それでも、いつか御社に頼むことを励みにしていた私たちには「ついにこの時が来た!」の気分でした。心の中で小さなピースサインを出していました。
以前のショップカードには、くすんだ緑色が使われていました。なぜ、食欲をそそるとは言い難い鈍色を使ったのかは思い出せないのですが、御社からの提案は“赤色”への変更。初めて見せられたときは、インパクトに驚きましたが、「日本におけるヌーベルシノワを発信するレストランとして、中国・日本・フランスを想起させるような赤色」という説明を受け、なんだかじんときました。考え抜かれた赤。それも優しくて品のある赤でした。そして今や「ユーロンレッド」 と言っていただける存在にもなりつつあります。
一方、赤い四角の中に配置された3つの店名 (「Maison de YULONG」「メゾン・ド・ユーロン”」「酒家__遊龍」)は、素人目にはフォントを変えて打ち込んだだけに見えました。正直「ちょっとシンプルすぎないか。こんなにシンプルでいいのだろうか」と思いました。でも落ち着いて眺めて見れば、これもまた溝田マジックでした。イメージカラーの赤色の中にフランス語と誰もが読めるカタカナで店名が記され、「酒家__遊龍」と店名を説明する言葉が静かにハーモニーを奏でていました。それはうちのお店そのもので、ロゴにもなり得るものでした。「あぁ、これがデザインエイエムさんの考える、“削ぎ落として本質を伝える” ということか」と腑に落ちました。「実績を残してきた溝田さんが言うんだから間違いないんだろう」とも思いました。僭越ですが、この人は余白の使い方がすごく上手いなとも思いました。
ショップカードの裏面も、めいっぱい情報を盛り込まずにホワイトスペースを大切にするところには、白い器に盛り付けていく私自身の料理とシンパシーを感じます。しかも、そのホワイトスペースもただなんとなく設けるのではなく、ひとつひとつに説明がつくのです。懇切丁寧にじっくり話を聞いてくれたうえで、生み出される理由のあるデザイン、本当に気に入っています。
こちらの話もじっくり聞いてくれて、ひとつひとつ丁寧に説明を加えながらやってくれるので、不安を感じることはなかったですね。ひと通りのものができ上がって今感じているのは、統一感があるとお客様の印象もぐっと上がること。意外と封筒や手提げなどを固めることによってブランディングの土台がしっかりするのだということです。ただうちは目下のところ物販がないので、手提げは食べきれなかった料理のお持ち帰り専用袋。それで手提げを活かすためにも、お土産になるものを作ろうという話が出ています。先に手提げありきのおかげで、仕事が増えそうです(笑)。
そういうこともあるんですね。オーナーの松田はできあがった当初「design by Akira Mizotaとか入れないんですか?」って聞いていましたよね。「そんなのは、いりません」ときっぱり断られましたけど。うちとしては素人の発想で、一流のデザイナーさんにツールを作ってもらっていることを、その時はちょっとちらつかせたかったんですけどね。
そういうことをさらりと言ってのける。私個人は、ユーロンのツールが整理されてから、他のお店のショップカードなどにも目が向くようになりました。でもなかなか印象に残るものは少ないですね。そんななかで、うちのロゴを覚えていてくださってわざわざ検索にかけるとは。それだけ印象に残るデザインであることを改めて知るお話です。
2010年、2011年と連続でミシュランの一つ星をいただきました。とてもありがたいことですが、溝田さんは「机の上のデザイナーにならない」とおっしゃるように、私は「星の上の料理人にならぬ」ようにやっていこうと思っています。
ご協力いただいた企業様
Maison de YULONG / メゾン・ド・ユーロン
東京都港区赤坂4-13-18
TEL/03-3589-3955
営業時間/11:30~13:30L.O.(土・祝~14:00L.O.) 18:00〜21:00L.O 日曜定休
アクセス/東京メトロ「赤坂」駅から徒歩8分。「青山一丁目」駅から徒歩8分。「赤坂見附」駅から徒歩10分
料理長
阿部 淳一様
1964年東京生まれ。「東京會舘」を経て、「東京上海錦江飯店」で中国料理の知識と技術を習得、青山「オーセ・ボヌール」にて研鑽を積み、「炒めの達人」と評され注目を浴びる。1995年 「メゾン・ド・ユーロン」のシェフに就任。その後独立し「A-Jun」を立ちあげる。2008年再度「メゾン・ド・ユーロン」に招かれ、現在に至る。
メゾン・ド・ユーロン様 WEB SITE
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LOGO / GRAPHIC / OTHER
ここへきて海外の仕事が増え、
外国人にも一目瞭然の和風ロゴ。
残りの美容人生は、
この “家紋” とともに生きていきます。
独立から10年、ロゴを一新してお店を白金台から東銀座に移した「PROSPECT」。「御社に頼むことが念願だった」とも言ってくださるオーナー兼ヘアスタイリストの渡部さんからのオーダーは「家紋を作ってほしい」でした。「店名はPROSPECTだけれど、洋的なロゴはいらない」ときっぱり。なぜ、家紋だったのか。なぜ和の意匠を好んだのか。改めてお聞きしました。お客様からは「あら、和菓子屋さんみたい」と言われることもあるとか。それがまたいいのだそうです。
2014年の9月に東銀座に移転しましたが、その前10年間やっていた白金台はギャラリーを兼ねた美容室でした。美容室といえば、席の前に大きな鏡が置かれているのが定番ですが、その鏡が手前にパタンと90度倒れてテーブルになり、目の前には作品が登場する仕掛けのあるサロンでした。もともとは美術館やギャラリーの椅子に座ってぼーっとするのが好きで、こういう空間でカットとかできたらというのがきっかけでした。カラーやパーマの待ち時間に絵や写真が楽しめると、お客様にも非常に好評でした。
一方、ロゴはというと…。店名の「PROSPECT」をフォントで少しいじった程度の自作でした。自宅のパソコンで安易に作ったことが、僕の中ではずっとずっとひっかかっていました。だからといってスタートしてしまったものを、いつどう切り替えていいかもわからず。ちゃんとしたいと思いながら、悶々として使い続けていました。
デザインエイエムさんを知ったのは、代表の溝田さんと何かの交流会で名刺交換をさせていただいたのがきっかけです。元来、デザイン好きの僕ですから、さっそくHPをチェックしました。自分の好みの世界観にあふれたHPでした。これまで作ったロゴを見ても、店なら店、企業なら企業の志が感じ取れ、単なるマークとは一線を画していました。仕事や趣味を通じて、デザイナーやアーティストとの面識も多いなかで、完全にFall in。御社に頼みたいと思いました。
でもロゴを変えるとなるとそれなりに費用もかかります。名刺やらショップカードやら、ツール類を全部変えなければならないからです。そこで僕は「10周年記念でやる。それまでにお金も用意する」という計画を立て、溝田さんに伝えました。こっちとしては片思いの告白みたいな気持ちで「3年後だけど、お願いします」と。返事は「3年後にまた言ってください」でした (笑)。
10周年を目前に、店の移転話も持ち上がって。移転となったら名刺やショップカードの変更は必然です。パズルのピースがはまるように、タイミングよくロゴをお願いする時がやってきました。
溝田さんには「家紋を作ってください」「それも粋なのを」と言いました。「家紋を背負いたい」とも言ったかな。美容師になって25年、雑誌も講習会もヘアショーも。日本ではひととおりのことをやりました。この先の美容人生がどこまでかは未知ですが、これからはハサミの職人として日本の美容技術を世界に広めたいという思いもあって、それには「家紋」がいいのではないかと…。
余談ですが、カット技術はもともとロンドンから入ったものです。そこに細やかさを加えて昇華させたのが今や世界に誇る日本の技術。実際一昨年から、アジア圏に技術を教えに行っていますが、彼らのほとんどが独学です。今後は日本の美容技術を少しでも活かすことで、その国の美容室や美容師が向上して、一人でも多くのお客様に喜んでいただければ、互いの国がもっと平和になれるはず。美容師も40半ばともなると、そんなことを思ったりするわけです。
通常は提案してもらった中から絞り込んでいくのでしょうが、元来バックヤードやメイキングに興味津々の僕は、「選ばれなかったものも見たい」と言いました。溝田さんは、それにもひとつひとつ言葉を添えて見せてくれました。変化球もたくさんあって、非常におもしろかったです。同時にこんなに真摯になって僕のロゴを考えてくれていることに胸がいっぱいでした。
だったら「3つから選べ」って話なのですが、この話には「見直し」という続きがあります。この真摯さに対して、自分は無責任ではないか、根源的なところを伝えきれているだろうかという思いが出てしまったんです。「3年間待った片思いが実ろうとしているんだ、思い残すことなく告白しないでどうする!」的な思いもあって、もう一度話を聞いてもらいました。面倒なクライアント。
申し訳ないと思いましたけれど、もんもんとしたロゴを使ってきた経験からも欲が出ました。「妥協はやめましょう。お互いが納得できるところまでやりましょう」という言葉に救われて、気がつけば「俺、どうしちゃったんだ」というくらい語っていました。こっぱずかしいくらいに。僕の中の奥底から本当の思いが引き出されていきました。デザイナーとして見た目の良さと、話をするほどにわかる溝田さんの人間臭さ。ほかのデザイナーさんだったら、こうはならなかった気がします。
ともすると「団子屋」が似合うような(笑)。モチーフにしたのは瑠璃唐草(ネモフィラ)という可憐な花です。そこに店名のPROSPECTが組み合わさった家紋ができあがりました。瑠璃唐草には「どこでも成功」という花言葉があり、PROSPECTには「見通しがいい」という意味があります。表向きは僕の店の家紋ですが、深いところで「いろんな国で、お互い発展して花開こうじゃないか!」という思いを形にしていただきました。
おかげさまで2014年の9月に東銀座に移転して、家紋をしょってやらせていただいています。毎朝、エントランスに掛けたのれんのロゴを見るたびに、ピリッと身が引き締まる思いです。老舗も案外多い東銀座界隈は、見渡せば家紋の街。お客様の評判も非常によくて、今後は商品をお求めいただいた際のお持ち帰り用の紙袋を作る予定です。PROSPECTの家紋が銀座の街を歩く。想像するだけでわくわくします。
自分もお客様商売をしています。僕が設定した金額を受け入れてくださったお客様が来てくれる。御社の価格設定に僕がお願いしたくて選んだデザイナー、あとはそこに気持ちをのせていくだけです。僕は、自分のテンションをあげることができたし、安い高いでは言えません。30万円のダイヤモンドは安いけれど、いらない人には高いのと一緒です。で、この先の自分は、このロゴを活かしたい。溝田さんが「PROSPECTのロゴは僕が作ったんですよ」と言いたくなるような仕事をしていきたいとも思います。
ご協力いただいたヘアサロン様
PROSPECT
東京都中央区銀座4-12-17 銀座石川ビル6F
TEL/03-6264-3948
営業/10:00~19:30 (カラー・パーマ ~18:30)
休日/火曜
アクセス/東京メトロ日比谷線・都営浅草線「東銀座」駅3番出口すぐ
PROSPECT オーナー
渡部 幹也様
1970年福島県会津若松市生まれ。1990年モガ・インターナショナル(株)に入社し、「ETON CROP」にて北川忠夫氏に師事。2004年に独立し白金台に「PROSPECT」をオープン。10周年を機に2014年東銀座に移転。国内外からカット技術、デザイン、カウンセングメソッドに高い支持を得ている。スタイルはとりわけボブスタイルに定評が。美容師向けの講演活動や技術指導も国内外で積極的に展開。その数は900回を超える。
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LOGO / GRAPHIC / OTHER
単にマークを作るだけなら、他にいくらでも。
物語性のあるロゴは、お客さんとのコミュニケーションにもひと役もふた役も買ってくれています。
都内10店舗のバー及びビアパブを運営しなから、バーテンダーの育成と独立開業支援を進めている有限会社アズザクロウフライ(atcf)の小林CEO。弊社は世界中から集めた200種類以上のクラフトビールが味わえる「目黒リパブリック」のロゴマーク、看板、フラッグ、コースターを制作させていただきました。「すべてのバーにグラフィックデザインが必要なわけではない」と語る小林CEO。「目黒リパブリック」のお手伝いをさせていただいた背景をじっくり伺いました。
そうですね。2010年の秋でした。もとは同じ場所で和食バーをやっていました。利益も十分出ていましたが、料理長が上がることになりまして。だったらかねてからやりたかったクラフトビールの店にしようと、業態をがらっと変えました。バーとビアパブ。一見同じようでも、実は雰囲気づくりからして“似て非なるもの”。“似ていて違う“っていうのは、“全く違う”より逆に難しいんです。今はクラフトビアパブという業態が存在しますが、当時はほとんどなく、あっても海外の模倣でした。僕は模倣には全く興味がなかったし、ブランディングを含めて、ちゃんとしたデザイナーの方にお願いしてみようと思った次第です。
溝田さんとは以前から面識がありました。仕事の実績も存じ上げていましたが、7店舗目でようやくお願いしたのは、この人には新しいことにチャレンジするときにお願いしたいと思っていたからです。似て非なる業態への挑戦、考えを明確にする上でも僕自身アウトプットする相手が必要でした。
御社には納得と満足のいく仕事をしていただきました。ただうちがやっている店は「目黒リパブリック」以外は全部バー。バーってきらきらしたインフラではないので、ロゴが必要ないことも少なくありません。極端な話バーテンダーがロゴなんです。店自体は目立たず、食べログでは★2.5だけど常連さん中心で満席というのが理想なんです。万人に受ける必要はありません。でも、ビアパブがそれでは潰れます。「目黒リパプリック」も38席ありますから、★2.5の常連さんでは成り立ちません。
溝田さんは「デザインは飾り立てることより、削ぎ落とすことのほうが大切」という考えを持っていらっしゃることは知っていました。知りつつも「細かいのを作ってください」とお願いしました。あえて面倒くさいものを、時間がかかりそうなものをお願いしました。そのほうがお得感があるし、やってもらった感もあるし…。というのは言い過ぎですが、元来エンブレムは、由来のあるシンボルや歴史など意味のあるものの組み合わせです。お客さんに「このマーク何か意味あるんですか」と聞かれるくらいのもの、コミュニケーションツールにもなるものを作りたいという思いが僕の中にありました。
はい。店名の「MEGURO REPUBLIC」を主役に、目黒のサンマがいたり、目黒川が流れていたり。目黒という土地のこともすごく意識してくれ、なかなか盛りだくさんの提案でした。“ローカル”は僕が店を作る上でのこだわりです。職場でもなく家庭でもなく、ひとりでもふらっと行ける地元のサードプレイスを作りたいという思いがあるからです。酒を飲むという若干グレーな場所で地元もしくはその土地で働いている人々が集まるきっかけを作りたい。そこに存在意義を見い出したいという僕の思いは、十分提案に盛り込まれていました。
ただ、一発OKではありませんでした。実際、ビジュアルになることで、僕のほうのイメージもより明確になり、細かくブラッシュアップしていただきました。作業量は多かったと思います。いろいろやってもらいました。真新しい感じは酒場にはふさわしくないという理由から、ホコリをかぶったように見える加工まで施されているんですよ。話も本当によく聞いてくれました。深いところまで堀り下げるのがすごく上手くて、モトはとりましたね。
こういうものは瞬間的にモトがとれるものではありません。お店は3年も経てばボロくなりますが、ロゴは劣化しません。長く使っていけるかどうかが「モト」だと僕は思います。それとグラフィックの力を再認識しました。ともするとかっこ悪くなりがちなペーパーコースターまでもが「かっこいい」と言われたり。ロゴ、看板、フラッグ、コースター。それぞれが、とてもよいコミュニケーションツールになってくれています。ニュースレターなど会社発信のいろいろな掲載物にも、メグリパのロゴの使用頻度はダントツです。
バーという業態のなかで25年、やりたいことはひと通りやった感があって、実は1年前から会社のモデルチェンジをがっつりやっています。「100人のBARオーナーを輩出する」っていうミッションで動いているんですけれど、バーテンダーとしていい人材を育てて、自由で多様な自分のバーが持てる環境を用意したいと思っています。たくさんのバーオーナーを輩出して、バーカルチャーを発展させていきます。そのための仕組み作りを今、本気でやっています。同じ会社ですが違う会社を作ったくらいの勢いで、僕自身のブランディングの必要性も感じています。グラフィックがどれくらい必要なのかも含めて、相談したいところです。
僕は溝田さんにブランディングをお願いして、「目黒リパブリック」にストーリーと奥行きを持たせることができました。ブランディング=伝える力だということも学びました。単にマークを作ることだけが目的なら、他にいくらでもあると思います。それと自分の思いをさらけ出すわけですから、信頼関係が築けるかも重要ですね。 誤解を恐れずに言うと、溝田さんのよさはかっこつけて、かっこよくいようとしているところ。それも「この人にお願いしよう」と思ったひとつの決め手です。デザイナーがかっこ悪くて、仕事ができるとは到底思えないですから。デザイナーはそのままがエンブレム。もちろん見た目だけは論外ですが、実力は言うまでもありません。
ご協力いただいた企業様
目黒リパプリック
東京都品川区上大崎3丁目3番地1 オバタビルB1
TEL/03-3441-6181
営業時間/18:00~3:00(月〜木曜、土曜) 〜4:00(金曜) 〜0:00(日曜、祝日) 無休
アクセス/JR山手線・東急目黒線・都営地下鉄三田線「目黒駅」東口から徒歩3分
有限会社アズザクロウフライ(atcf) 代表取締役
小林 信秀様
1974年、東京都生まれ。吉祥寺の繁華街を遊び場所に育ち、15歳からバーテンダーのアルバイトに就き、20歳で独立。出店を重ね現在は10店舗のバー及びビアパブを運営。昨年よりビジネスモデルを変更し、「日本でバーテンダーがいちばん働きたい会社」をテーマに、バーテンダーの育成と独立開業支援に特化。バーカルチャーを次世代に継承するリーディングカンパニーを目指している。
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正直言って安くはないですよね(笑)
でも、やっぱりここだな!とピンときた。
吉祥寺の街を抜けた井の頭公園のほとりにあるチャイと紅茶のお店、「チャイブレイク」。お店のロゴマークをはじめ、ショップカードやテイクアウト用カップなど各種ツールを弊社でお手伝いさせていただいたのは、約5年前(2009年頃)。今回はお店におじゃまし、おいしいチャイをいただきながら、紅茶に対する想いをはじめオープンから現在に至るまでのお話を伺ってきました。
ーこんにちは。本日はどうぞよろしくお願いいたします。
早速ですが、「チャイブレイク」というお店を始められたきっかけやコンセプトについてお聞かせ願えますか?
元々は紅茶の輸入を10年くらいやっていたんですけれども、おいしい紅茶があっても、あまり飲まれていないなと以前から感じていました。良い茶葉がここにあっても、良いと思ってくれる人がいなければ価値がないと思っていまして。クオリティの高い茶葉を入れて、もっと多くの人に「おいしい」と思っていただきたい、と考えていました。一部の詳しい人はシーズンになると、良い茶葉を追い求めて、飲み比べたりもしていますが、なかなか一般にはそういうことは知られていなくて。でも、そういう紅茶って紅茶に詳しくない人が飲んでも、”あ、これ違う!”とか”おいしい!”って思ってもらえるものだなって、僕は常々思っていまして。例えば紅茶に季節があるだとか、春の新茶があるだとか、そういうのってなかなか知ってもらう機会はないですし、知られていないので、おいしい紅茶そのもののおいしさをもっと気軽にカジュアルに味わってもらえる、触れてもらえる場所を作りたいな、っていうのは思っていたんですよね。それがここの始まりですね。とはいっても良い紅茶を揃えました、っていうのをずらっと並べてメニューにしてもやっぱりとっつきにくいことには変わりがないので、もっともっと敷居を下げて、入りやすいようなカタチにしたいなというのがあって、もっとカジュアルな「チャイ」という飲み方にスポットをあてて、そこを入口にして”どうぞ、奥までいらしてください”というようにしていければな、と。
ーチャイを入口として、色々な紅茶を飲んでもらう、という?
そうですね。だから日常的に使える価格帯で、日常的に使っていただいて、あ、たまには新茶が入ったらしいから紅茶も飲んでみようか、と思ってもらって、実際に飲んでみたらすごくおいしかった!みたいなそんなことを思い描いてやっていますね。それは当初から現在も変わらずやっているところではあります。
ーその辺のコンセプトはオープンされた当時から変わらず現在も、というところでしょうか。
目指すところは変わらないですね。ただ、そこがうまく表現できているかというと、正直な話、まだチャイのお客さまと紅茶のお客さまが融合していないというところはあります。チャイって紅茶なの?っておっしゃる方もいらっしゃいますし、そこら辺をうまく誘導しておいしい紅茶を飲んでいただけるような機会を増やしていくうというのは課題ですね。なかにはうちの紅茶でないと、と言ってくださる方もいらっしゃるので、そういう方が少しづつ増えていくというのはうれしいことでもあります。お店で一緒に出すフードも旬ですとか、季節を感じられるようなものを意識して出すようにはしていますね。チャイも季節のチャイを出したり、地元の武蔵野地域で採れたものを積極的に使うようにしています。
ーそのような中で、弊社にご依頼いただいたきっかけというのをお聞かせ願えますか?
きっかけは以前デザインエイエムさんにロゴをお願いしたことがあった知人の紹介です。実はそれ以前にもたまたまデザインエイエムさんのつくったロゴを見たことがありまして。それを見てすごくいいなと思い、いつかお願いできたらいいな、なんてちらっと思いながらずっと頭の中にはありました。やっぱりそれ以前に見たことがあり、共鳴するものや感じるところがあったというのが大きいと思います。
ー実際ロゴをつくりたいと思っても、どんなところに頼めばいいんだろう、どういったものができるんだろう、となかなか見えなかったり、わからない部分は多いですよね。
そうですね。前々からお店をつくりたいという願望はあったので、いずれはなんていうことを考えながら、やっぱりロゴもどうしようかなとか考えていると、いいなと思うものはピッときたりはするんですよね。そういうインスピレーションみたいなものはありました。ただ、実際頼むとなるとわりと大きいじゃないですか。やっているお仕事も、クライアントさんも。こんなスゲーところに頼んでいいのかな、という思いもありながら(笑)でもせっかくの機会ですし、お話したら快く引受けていただけたので思いきってお願いしました。
ー約1〜2ヶ月の期間でやり取りさせていただき、ロゴやツールなどを制作したわけですが、何かその過程で不安に思われたことはありましたか?
ぶっちゃけた話、不安はやっぱりありますよね(笑)こちらの想いを伝えたつもりではあっても、うまく伝わっているのかどうかというのはまずありますし、自分ではない、デザインエイエムさんのフィルターを通して、どんなものが出てくるんだろうというのはやっぱり不安でしたね。ロゴをきちんとしたカタチでお願いするのも初めてでしたし、今まで自分の考えていることをうまく表現してもらえるデザイナーの方に会う機会というのはなかなかなくて。そんな中でピン!とくるものがあってお願いしたわけですが、ロゴのパターンをいくつかつくっていただけるということで、そこは若干緩和した部分はありましたね。その前のプロセスで、きちんとこちらのお話を聞いてもらう時間は充分に取っていただけていたと思うので、そういう意味での不安はなかったです。本当にカタチがどうなるかという期待と不安といいますか、そういう感じですね。
ーご提案させていただいたロゴを見られて、いかがでしたか?
3つ案を出していただいて、そのときの僕の反応を見ていてたぶんわかるとは思うんですけど(笑)あ、もうコレだな、というのがピン!ときました。家内と一緒に見させていただいたんですけど、”せーの”で指差しして、もちろん一致していましたね。しっくりくるものがあったので、本当に良かったなと思っています。それから、これは言っていいかどうかわからないですけど、正直言って安くはないですよね(笑)
ー(笑)逆に周りに安価なところがどんどん増えてきているな、という印象はありますね。それこそネット上で数万円でつくれてしまったり。
初めてで、そんな高額でお願いして、という不安はもちろんありましたけど、結果を見たらやっぱりなるべくしてなったんだろうな、という感じはしますね。
ーショップカードや、名刺などのツールもつくらせていただいたわけですが、そのあたりでの不安などはありましたか?
カタチを展開するという面での不安はなかったですね。やっぱりシンボルとして、そこさえちゃんとしていればといいますか、そこで考えがきちんと表現できていれば、すなわちコンセプトを理解してもらっているということなので、そういう意味ではハードルは低いものでしたね。
ーオープンされてから5年、実際にロゴやツールなどを使用されてきていかがでしょうか?
一言でいうと、とっても満足していますね。というのはデザインエイエムさんのやり方として、コンセプトからヒアリングをしていただいて、こちらがどういうものを表現したいか、ということをきちんと把握した上でつくってもらえているというのがとても心強くて。お店というのはコンセプトがしっかりしていて、例えるなら幹がしっかりしていて、その幹から出る枝をいかに表現していくか、ということだと思うんですよね。だから何かその考えとは違う幹から出たものであったり、違和感があるものがあってはいけないと思っていて。そういう意味では、メニューの揃え方から、品揃えから、提供の仕方から、全部そういうコンセプトに沿ってつくっているつもりなんですけど。それをうまく統合した表現をしてもらえているな、と感じています。かといって難しくなく、とっつきやすさも考慮していただいているので、とてもインパクトのあるロゴになっていると思います。
ーお客さまの反応などはいかがでしょうか?
直接ロゴについてどうですか?と聞く機会はあまりないんですけど(笑)”かわいい”という声は女性からはよく聞きますね。あとは印象的だったのは、公園でテイクアウトのカップにあるマークを見て、”あれ、どこのだろう?”という感じで興味をもたれる方は多いみたいですね。オープンしたての頃は近隣の方からも、”最近あのマークよく見るよね”といった声はよく聞きました。それはとても大きかったなと思います。つい最近こういった文章を読む機会がありまして、うまくいっているお店というのは”統合されているお店”と表現されていたんですけど、提供の仕方であったり、店員の所作であったり、そういうものが違和感なくうまく統合されているというのがいいお店であると。あと、これはまた別の知人から聞いたんですけど、繁盛店をつくるには”がっかりポイント”をつくらないことだと。それも同じことだと思っていて、いい意味で期待を裏切るというのはいいと思うんですけど、例えばオーナーが好きだから集めましたというのではなくて、こういうことをやりたいからこういう表現をしています、というような。そういうものがきちんとできていればいいんだろうなと思っています。
ーお客さまというのは、一つ一つ細かく見ていくということはしないんですけど、店内にいるとどこかで感じるというか。
そうですね、どこかで感じるんでしょうね。あれー!みたいなところがあればね。そのあたりが統合されていると、お店としてはやっぱりいいなと思ってもらえるんだと思います。そういう世界に浸りにくるという面もあるでしょうしね。
ー最後になりますが、今後の展望などがございましたらぜひお聞かせください!
おいしい紅茶をもっと広めていきたいと思っています。例えば紅茶教室ですとか、もっとお客さまに直接伝えるような機会であったり、商品展開であったり、そういったことは必要だなと感じています。あとはこれはもっと大きい話にはなるんですけど、「チャイ」という、紅茶をカジュアルに飲むというスタイルをもっと広めたいなという想いは常々ありますね。ここはお店としておいしく食べたり飲んでもらえるサービスを提供するお店なので、きちんとした形で出したいなというのはあるんですけど、もっとテイクアウト中心のチャイスタンドのようなものも展開していきたいなという夢はあります。まずは吉祥寺をチャイの街にしたいですね(笑)
ーすばらしいですね。そのときはぜひまたお手伝いさせてください!
本日はありがとうございました。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
ご協力いただいた企業様
chai break / チャイブレイク
代表 水野学様
東京都武蔵野市御殿山1-3-2
TEL/0422-79-9071
営業時間/9:00〜19:00(土日祝8:00〜19:00)
火曜定休(火曜が祝祭日の場合は水曜に振替)
アクセス/JR中央線・総武線、京王井の頭線、吉祥寺駅から徒歩3分
チャイブレイク様 WEB SITE
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