LOGO / GRAPHIC
何の意味もなかった安易なロゴから
意味を持った世界観のあるロゴにスイッチ。
ホームページの作り替えも功を奏して
売り上げも利益も上がっています。
「次々と新しい世界に飛び込んだことで今の僕が存在します。広告制作は、楽曲制作と通じる部分が多い」と語る、株式会社エスプロックス(総合広告代理店)社長の鎌倉圭氏は、シンガーソングライターや税理士の顔を持ち、お笑い芸能プロダクションの代表も務める異色の存在。初めてご依頼をいただいたのは2012年、名刺と封筒のデザイン制作でした。その後、「ロゴを新しくしたい」というお話をいただき、ホームページも一新。「自由な発想で仕事も人生もおもしろくしていきたい」という鎌倉さんを前に、デザインエイエムも思い切ったクリエイティブをさせていただきました。
まぁ、そんな奴は滅多にいませんからね。音楽は高校時代に始めましたが、それは趣味の世界。上京してからも路上やライブハウスで歌うも、将来の目標は税理士でした。7年間は税理士の資格取得に向けて猛勉強。誰とも口を聞かない日もあるくらい部屋にこもって勉強していました。ところが、ネット上で公開した音源が音楽配信サイトの週間ランキングで上位を獲得するなんてことが起こりまして…。税理士試験に合格した直後にCDデビューが決まるという奇跡が降ってきたんです。2007年でした。
同じ年に僕は、自分の音楽活動を制作・広告・管理するために音楽制作会社を設立しました。その広告活動で大いに活用したのがSNS。SNSを使って独自のプロモーションを展開したのですが、いつしかそのプロモーションの仕方に興味をもつ企業が増え「うちも」「うちも」と依頼が来るようになり、2009年にSPROXと社名を変えて広告代理店事業を始めた次第です。その時に作ったのが以前のロゴで、暇な会議の最中に下書きしてひょいひょいと作ったものでした。そこには何の思い入れもなく、安易な作り方にむしろコンプレックスを抱いていたくらいです。とはいえロゴは会社の顔。変えるに変えられず、デザインエイエムさんにはそのロゴで名刺と封筒制作をお願いしました。
名刺はカッターナイフの刃のような形で、封筒は右肩上がりの定形外。どちらも鋭角的で印刷会社も驚きました。自分でsadisticと言っておきながら「鋭すぎやしないか」と一瞬躊躇もしました。でも、眺めているうちに実はものすごくシンプルで品があることに気づかされ、「こんなふうに作ってくれるところはない」と御社の提案力に感動したことを覚えています。しかも変形でありながら、名刺入れにはちょうどよく収まるサイズ感。行き届いた細やかさに、ただのデザイン会社ではないと言われる一辺を垣間見ました。
あっちからもこっちからも上々でした。日頃僕は、広告は企業存続のためには必要なファクターだと申し上げていますが、名刺や封筒も広告だと改めて感じました。 だからこそ、自作のロゴに対するコンプレックスが一層拭えなくなってしまったのも事実です。加えて、時代がどんどん変わってきていること、僕自身が35歳になって尖ってばかりいられなくなったこと、オフィスが松濤に移転し名刺を作り直す必要があったこと、ホームページの作り替えをしたかったことなどが重なって、ロゴを変えるにもいい機会が巡ってきました。ロゴ制作に多大な実績を持つ御社に、迷うことなくお願いしました。
新しいオフィスの最寄り駅は渋谷。駅を降りスクランブル交差点を渡って、オフィスに着くまでのおよそ500メートルの世界は、広告で溢れ返っていました。看板、ポスター、ネオンサイン、チラシ、流れる音楽、配られるティッシュ、ひいてはアドバスやアドトラックまで…。これだけの広告がありながら、どれだけの人の目に触れ、どれだけの効果を生んでいるのだろうか。そんなことを思いながら溝田さんには、SPROXが作った広告で渋谷駅をジャックしたいくらいの思いでいることを伝えました。結果生まれたのが、SPROXの「O」を目玉に例えた斬新なロゴ。そこには人の目に触れる広告の意が込められています。商標登録もしました。商標登録の申請まできっちりやっていただけるのは心強い限りです。ホームページのトビラは、SPROXの目玉が渋谷の街をジャックしたデザインになっていますので、そちらもぜひ見ていただけたらと思います。
費用対効果を実現できています。げん担ぎみたいですけれど、やっぱりお金をかけた分だけ返ってくる気がします。それとちゃんとしたところに頼んでやってもらうと、名刺一枚出すにもスピード感が違います。自信を持って出せるからです。ケチって自分で作って、後ろめたさを感じるロゴを使っていた頃との違いは歴然です。
また、外のデザイナーに頼むからこそ、センスよく客観的に見てもらえることも、費用の一部だと思います。ましてや溝田さんは、ブランディングまでしている稀少なデザイナーです。だからロゴに関しても、僕は最終決定を溝田さんに委ねました。「溝田さんがいちばんいいと思っているのにしてください」と。もっとも大事なことは、社員がどう思うかではなくて、見ず知らずの人にいかに「かっこいい」「なんかいい」と思ってもらえるか。音楽もそうですが、内輪受けだけでは発展はありません。
僕は今後、会社名が変わることがあっても、このロゴは残せるなと思っています。ここまでの自分の仕事人生を振り返ると、税理士をのぞけば、シンガーソングライターも広告代理店事業もお笑いプロダクションも音楽事務所も、「やってくれないか」と頼まれたことばかり。会社名が変わることくらい十分あり得るビジネス展開ですが、会社は「目玉のマーク」でずっと行きます。
ご協力いただいた企業様
株式会社エスプロックス
代表取締役社長 鎌倉 圭様
1979年、長野県生まれ。高校時代にバンド活動を始め18歳で上京。税理士を目指しながら、ライブハウスやストリートで音楽活動を続ける。2006年、税理士試験に合格。その1週間後に、CDデビューが決まる。2007年、メモリーソング株式会社(現:株式会社エスプロックス)を設立し、代表取締役社長に就任。2008年、2ndアルバムの「Social Network」が、iTunesチャート1位を獲得し、その年のiTunes・ベスト・インディーズアルバムを受賞。その後、広告代理店、税理士事務所、お笑い芸能プロダクション、音楽事務所を設立して業務を拡大。2012年には初の著作「ミクシィ、グリー、モバゲー、フェイスブックで売り上げを2倍にする方法」を上梓。
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