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デザイン、広告の最先端!「日本のアートディレクション展2022」レポート

2023/02/22

2022年11月1日〜30日の1ヶ月間、ギンザ・グラフィック・ギャラリー(ggg)、クリエイションギャラリーG8の2会場で同時開催された「日本のアートディレクション展2022」に行ってまいりました。

「日本のアートディレクション展2022」とは、1952年に結成されたADC(正式名称:東京アートディレクターズクラブ)の会員であるトップクラスのアートディレクター約82名が審査員となって行われる年次公募展です。

トップクラスのアートディレクターにより審査が行われるため、日本の広告やグラフィックデザインの先端の動向を反映する賞として国内外の注目を集めています。

こちらは会場の様子です。
2021年5月〜2022年6月までに日本国内で発表、使用、掲載された約6,000点の応募の中から、選出された作品が数多く展示されていました。

今回は、その中からグランプリに選ばれた作品と、私が特に気になった作品を紹介します。

「HIROSHIMA APPEALS」ポスター

今回、日本のアートディレクションADC賞グランプリに選出された作品が、大貫卓也(*1)さんの「HIROSHIMA APPEALS(*2)」のポスターです。

*1大貫卓也さん
日清カップヌードル「hungry?」、ペプシコーラ「Pepsiman」、資生堂「TSUBAKI」など、数多くの傑作広告を生み出したデザイナー/アートディレクター。

*2「HIROSHIMA APPEALS」
国内外に向けて“ヒロシマの心”を広く内外に訴える事業として1983年に開始され、毎年JAGDAを代表するデザイナーが1名ボランティアでポスターを制作する活動。

スノードームの中に閉じ込められた白い鳩。
とてもインパクトのあるビジュアルですね。
このポスターにはある仕掛けが仕掛けられています。

大貫さんは、このポスター制作に当たって、見た人が心を動かされ、 戦争や原爆を自分ごととして考えられる、そんなライブ感があるものをつくりたいとインタビュー記事で仰っていました。

そのライブ感を演出する仕掛けが、ARです。

なんとポスターにスマートフォンをかざすと、スノードーム内の真っ黒な粉が舞い散り、白い鳩が一瞬にして黒く包まれていきます。
実際に私もARを使った演出を体験しましたが、平和の象徴である白い鳩が黒に染まって行く姿は、衝撃的でした。
大貫さんの狙い通り、心が動かされ戦争について考えさせられる作品でした。

大貫さんの作品の他にも体験型の作品が多かったような印象でした。
これからはデザイナーとして、体験もデザインできなくてはいけないと学ぶことができました。

レモン菓子屋「レモンノキ」

今回、個人的に印象的だったのがADC賞を受賞した「レモンノキ」というレモン菓子屋さんのデザインです。

ビジュアルの統一感も素晴らしかったのですが、このデザインになるまでの過程がとても印象的でした。

デザインを担当されたのは、グラフィックデザイナー・アートディレクターの関本明子さん。
関本さんは、実際に商品に使用するレモンの畑まで足を運び、そこで得たインスピレーションを元にロゴマークなどを制作されたそうです。
その様子について、関本さんのコメントを一部引用します。

“このブランドの魅力は、国産レモンの旬の時期のみレモンケーキを販売するという、とにかく尖ったこだわりを持っていることです。
商品に使用する狛江市特産のレモンの木を見に店舗近くの畑に連れて行って頂きました。
そこで見たレモンの木は沢山の大きな鋭い棘に覆われ、レモンの実はその棘で傷だらけでした。
レモンの木にこんな大きな棘があることを初めて知り、また、その大きな棘は、レモンの酸味にも見え、ブランドの尖ったこだわりとも繋がり、その棘をモチーフにデザインしていきました。
ブランド名や商品名もカタカナに整理していただいたことで、ロゴも棘に見える様なブランドイメージをより伝えられる表現となりました。
(関本明子)“
(引用:日本のアートディレクション展2022 レモンノキ解説にて)

このように、現地で得たインスピレーションを元にデザインが出来上がる様子を見ると、デザインにおいて、実際に現地に足を運ぶことの大切さを改めて感じることができます。

弊社も机上のデザインではなく、現地に足を運び、そこでしか感じることのできない雰囲気や空気感などを大切にデザインすることを心がけています。

今回の「レモンノキ」では、そのインスピレーションをどのようにデザインに落とし込んでいくか学ぶことができ、大変大きな収穫となりました。

また、ロゴだけでなくパッケージなどもコンセプトに沿ったデザインで、グラフィック全体も統一されていてとても魅力的でした。

そのブランドならではの世界観で統一されたデザインは、ブランドの魅力が一瞬で伝わり強いブランドになるのだと実感することができました。

他にも数多くの作品が展示されており、非常に勉強になりました。
美しいデザインや斬新なアイデア、緻密なコンセプト設計に触れ、早く事務所に帰ってデザインをしたくなるような展示会でした。
今回学んだことを実際の現場でも生かして行ければと思います。

また、今回展示が行われた「ギンザ・グラフィック・ギャラリー(ggg)」、「クリエイションギャラリーG8」では、このような美しいデザインに触れることができる展示会が定期的に行われているので、ぜひ見学に行かれてみてください。

【Texted by】
KEITA YAMADA( designer )

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