DESIGN AM

日常にあるデザイン「信号機」

2020/11/17

青空を背景にした信号機

みなさんはじめまして、グラフィックデザイナーの西村です。
印刷物やwebサイトなどのデザインを幅広く担当しています。

これから「日常にあるデザイン」をテーマにみなさんと一緒に考え、デザインが身近な存在であることをお伝えしていきます。

信号機

信号機のイラスト

今回はみなさんもよく目にしている「信号機」に着目します。(ここでは交通信号機を信号機と呼ぶことにします)
日頃は無意識に見ているものですが、ここにもデザインがあります。

信号機を改めて調べると、”道路における交通の安全の確保、もしくは交通の流れを円滑にするために、進行許可・停止指示などの信号を示す装置”、というものでした。

そりゃそうだろうという結果ですが、ここで重要なのは、”交通の安全を確保し、円滑にする”、という目的があることです。

もしみなさんが、この目的を果たすための装置を一から作るとすればどうされるでしょう。見た目やサイズだけでなく、時間帯や天候など様々な状況も存在するので意外に難しいかもしれません。けっこう問題山積みです。

しかし、信号機は様々な問題をデザインによってひとつずつ解決されています。

デザインによる解決方法

・ライトは何色にするか
そもそも色というものは、目に見える可視光線の「波長」によって感じ方が変わります。一番波長が長くて遠くまで届くのが「赤」(夕焼けが赤い理由もこれ)、逆に一番波長が短かいのが「紫」です。
可視光線の説明図

そして、波長が長い赤やオレンジは実際よりも近くに見える“進出色”、波長が短い青や紫は実際よりも遠くに見える“後退色”でもあります。
進出色と後退色

進出色では真ん中の赤が手前に迫ってきて、後退色では青が奥に退がっていくように見えますね。
つまり、信号機の一番重要な“止まれ”が赤色なのは「一番遠くから見え、一番近くに迫って見えるから」なんです。”進行できる”ときはその対局である緑色、その2色の中間に位置するため黄色が選ばれています。決して好みの色だからではなく、パッと見て分かりやすい色にした理由があります。

・色の順番はどうするか
世界初の信号機はイギリスのロンドンに誕生したそうですが、日本も同じように車は右ハンドルですよね。そうです、右ハンドルのドライバーから一番大切な「赤」が一番見やすくなるようになっているんです。たまたま右にある訳ではありません。

・色の判別が難しい人にはどうするか
どんな人にも見やすい色にしなければなりません。色覚障害をもつ方にとっては黄色と赤色の区別は難しく、とっさの判断が必要な状況では大問題です。しかしこれにも2011年に発表された学民共同によるデザインがあります。
特徴は赤色灯に特殊な×印のLED発光体を配列している点で、100m離れると健常者には×が見えず、色覚障害の方にだけ×が見えるという「必要な情報が必要な人にだけ届く」ものだそうです。こちらはユニバーサルデザインとして2011年グッドデザイン賞を受賞されています。 参考サイト:https://www.g-mark.org/award/describe/37952

色覚異常者に優しいユニバーサルデザインLED信号灯

その他にも多くの問題がデザインによって解決されています。
もはや交通信号機はデザインによって成り立っていると言えますよね。

デザイン=手段

ここまで読まれた方の中には、それってデザインなの?と感じる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、これこそがデザインです。

交通信号機には”交通の安全を確保し、円滑にする”という目的があり、それを果たすためにあらゆる情報を整理し、問題を抽出し、解決のアイディアを生み出し、試行と検証を繰り返し、そして最終的に交通信号機というカタチにされています。

つまり、デザインとは目的を果たすための手段であるということです。

私たちデザイナーはご要望をいただいたとき、同じようなプロセスで取り組み、最終的に何らかのカタチにしてご提案しています。そのカタチを視覚的=グラフィックとしてご提案しているのが、私のようなグラフィックデザイナーです。

けっして美しく見た目のいいカタチを作ることがデザイン=目的ではありません。優れたデザイン=手段により、結果として魅力的に感じられるのだと思います。

道で信号が赤になったとき、目の前の信号機を見て想像してみてください。何気ない身近なところにもデザインが溢れています。

次回もみなさんと一緒に「日常にあるデザイン」について考えたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。


参考:
交通信号機 – Wikipedia
車なんでも質問箱 | JAF



【Texted by】
西村 健太(デザイナー)





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