TREND REPORT「中小企業のクラウドファンディング」
2021/10/15
今や知らない人はいないであろう、クラウドファンディング。
中には、参加したことがあるという方もいらっしゃると思います。
クラウドファンディングとは
群衆(crowd)と資金調達(funding)を組み合わせた造語で、インターネットを通して自分の活動や夢を発信することで、想いに共感した人や活動を応援したいと思ってくれる人から資金を募るしくみです。
「購入型」「寄付型」「金融型」の種類があり、
一般的によく見かけるのが「購入型」ではないでしょうか。
購入型のクラウドファンディングは、
実行者がモノやサービスなどの「リターン」を販売することができ、
支援者は見返りとして、様々なリターンを得ることができるというものです。
クラウドファンディングのメリットは、資金調達ができるということ。
しかし、それだけでないことはご存知でしょうか。
クラウドファンディングの効果
・資金調達を行うことができる
やりたいことがあっても、実現するための資金がない人が利用することで、資金を集めることができます。
・多くの人にPRできる
クラウドファンディングを行う中で、多くの人々に活動をPRすることが出来ます。
・テストマーケティングにも活用できる
応援コメントやメッセージのやり取りなどを通じ、支援者と交流もできるため、ユーザーのニーズを拾い上げ、商品やサービス開発に生かすこともできます。
・ファン作り
活動への想いや背景を伝えることでファンを獲得できることもメリットの一つです。
昨今は拡散力の高いSNSをうまく活用し、認知のきっかけを広げることで、上記の効果をより高めている事例も多くみられます。
以下は、SNSなどを使用し、新商品開発のために
クラウドファンディングを実施した当社のお客さま事例です。
「Tobiha」フィギュアスケート靴開発プロジェクト 株式会社ティーワン
カーボンファイバーを使用した競技用製品・部品を製造する株式会社ティーワンとフィギュアスケーターの小塚崇彦さんとがタッグを組んだ、日本発の「フィギュアスケート靴」開発プロジェクトです。
ティーワンは、主にレース向け自動車の部品、産業用品含め、
武田豊樹選手と競輪用シューズの共同開発などスポーツシューズ開発を手掛けられてきました。
フィギュアスケート靴の開発は、
元々長野オリンピック金メダリスト清水宏保さんのスピードスケート靴の開発をされていたころから温めてきた想いでした。
20年以上温め続けたある日、小塚さんとの出会いをきっかけに動き出したプロジェクトです。
選手の皆さんがより自分らしい演技で、そして叶うことならば5回転ジャンプを実現して欲しい。
そんな願いを実現するため、調整を重ねてきた「Tobiha」。
選手一人ひとりの悩みや課題と向き合えるパートナーとなる製品を目指しています。
しかし、精度の追求や均一な高品質を届けるという想いで進めてきた開発は、当初の想定よりも費用がかさみ継続が難しい状況に。
Tobihaの完成に向けて歩みを続けるべく、
資金調達の他、以下のような目的を掲げ、クラウドファンディングの実施を決断されました。
・商品を認知してもらう
・ファンを作る
・どんな方から反響があるのか調査
当社にご相談を受け、クラウドファンディングを実施するにあたり、
まずはデジタルコンテンツの整理や運用方針をまとめました。
次にどの層へメッセージを発するのか、何をどのように伝えるかを綿密に組み立てていきました。
実際のコンテンツを制作する上では、
複数の観点で注意を払い制作を進めました。
クラウドファンディングが、初めて「Tobiha」として
大きく情報発信をするプロジェクトとなるため、なるべくネガティブな表現を用いずにポジティブな表現だけで構成したこと。
そして数あるフィギュアスケート靴の中の新たな「選択肢の1つ」という立ち位置であることに注意を払いました。
また、メディア上で「小塚さんの靴」という印象がどうしても強くなってしまい、ティーワンの活躍が埋もれてしまっている課題がありました。
そのため、クラウドファンディングのページやオフィシャルサイトでは
小塚さんとティーワンが一緒に開発していることだけでなく、
ティーワン自体の技術力や情熱が必要不可欠である具体的な説明や、ティーワンの開発ストーリーにフォーカスをあて紹介することで、開発元の会社名をしっかりと認知してもらえるページ作りを行いました。
→ Tobihaオフィシャルサイトはこちら
こうしてスタートしたクラウドファンディングは、
小塚さんやフィギュアスケートのファンの方々を中心に支援いただき
開始から1ヶ月後、期間を約半分残した段階で見事目標金額を達成されました。
これまで以上にティーワンという会社を知っていただく機会にもなっていると思います。
現在はネクストゴールを設定し、支援者を引き続き募集されています。(2021年10月現在)
状況変化が著しい現代、変化を求められる企業は多くあると思います。
例えば、下請けから脱するべく新しいサービスや商品の開発をしている中小企業にとって、ただ新しいサービス・商品づくりをしているだけではいけません。
これまでの顧客層以外にも広く認知してもらうためPRを行うことが非常に重要だと言えます。
その1つの手法としてクラウドファンディングは有効な手段ではないでしょうか。
【Texted by】
MIZUHO OGURA( assistant director )
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