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[PROSPECT]ここへきて海外の仕事が増え、外国人にも一目瞭然の和風ロゴ。残りの美容人生は、この “家紋” とともに生きていきます。

2019/08/28

独立から10年、ロゴを一新してお店を白金台から東銀座に移した「PROSPECT」。「御社に頼むことが念願だった」とも言ってくださるオーナー兼ヘアスタイリストの渡部さんからのオーダーは「家紋を作ってほしい」でした。「店名はPROSPECTだけれど、洋的なロゴはいらない」ときっぱり。なぜ、家紋だったのか。なぜ和の意匠を好んだのか。改めてお聞きしました。お客様からは「あら、和菓子屋さんみたい」と言われることもあるとか。それがまたいいのだそうです。

ご協力いただいた企業さま

PROSPECT
オーナー 渡部幹也さま
小売・サービス業
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AMアートやデザインがお好きというのは聞いていましたが、以前の白金台のサロンに初めてうかがった時は「ここが美容室?」と思いました。

渡部2014年の9月に東銀座に移転しましたが、その前10年間やっていた白金台はギャラリーを兼ねた美容室でした。美容室といえば、席の前に大きな鏡が置かれているのが定番ですが、その鏡が手前にパタンと90度倒れてテーブルになり、目の前には作品が登場する仕掛けのあるサロンでした。もともとは美術館やギャラリーの椅子に座ってぼーっとするのが好きで、こういう空間でカットとかできたらというのがきっかけでした。カラーやパーマの待ち時間に絵や写真が楽しめると、お客様にも非常に好評でした。
一方、ロゴはというと…。店名の「PROSPECT」をフォントで少しいじった程度の自作でした。自宅のパソコンで安易に作ったことが、僕の中ではずっとずっとひっかかっていました。だからといってスタートしてしまったものを、いつどう切り替えていいかもわからず。ちゃんとしたいと思いながら、悶々として使い続けていました。

AM渡部さんは弊社のデザインを初めから評価してくださっていましたね。

渡部デザインエイエムさんを知ったのは、代表の溝田さんと何かの交流会で名刺交換をさせていただいたのがきっかけです。元来、デザイン好きの僕ですから、さっそくHPをチェックしました。自分の好みの世界観にあふれたHPでした。これまで作ったロゴを見ても、店なら店、企業なら企業の志が感じ取れ、単なるマークとは一線を画していました。仕事や趣味を通じて、デザイナーやアーティストとの面識も多いなかで、完全にFall in。御社に頼みたいと思いました。br> でもロゴを変えるとなるとそれなりに費用もかかります。名刺やらショップカードやら、ツール類を全部変えなければならないからです。そこで僕は「10周年記念でやる。それまでにお金も用意する」という計画を立て、溝田さんに伝えました。こっちとしては片思いの告白みたいな気持ちで「3年後だけど、お願いします」と。返事は「3年後にまた言ってください」でした (笑)。

AMそれで3年後に渡部さんは本当にまた言ってくださいました。

渡部10周年を目前に、店の移転話も持ち上がって。移転となったら名刺やショップカードの変更は必然です。パズルのピースがはまるように、タイミングよくロゴをお願いする時がやってきました。
溝田さんには「家紋を作ってください」「それも粋なのを」と言いました。「家紋を背負いたい」とも言ったかな。美容師になって25年、雑誌も講習会もヘアショーも。日本ではひととおりのことをやりました。この先の美容人生がどこまでかは未知ですが、これからはハサミの職人として日本の美容技術を世界に広めたいという思いもあって、それには「家紋」がいいのではないかと…。
余談ですが、カット技術はもともとロンドンから入ったものです。そこに細やかさを加えて昇華させたのが今や世界に誇る日本の技術。実際一昨年から、アジア圏に技術を教えに行っていますが、彼らのほとんどが独学です。今後は日本の美容技術を少しでも活かすことで、その国の美容室や美容師が向上して、一人でも多くのお客様に喜んでいただければ、互いの国がもっと平和になれるはず。美容師も40半ばともなると、そんなことを思ったりするわけです。

AM美容室で家紋は弊社としても初の試みでした。100点以上のアイディアスケッチから選りすぐった3案をお見せしましたが、渡部さんは「残りの97点も見たい」と。

渡部通常は提案してもらった中から絞り込んでいくのでしょうが、元来バックヤードやメイキングに興味津々の僕は、「選ばれなかったものも見たい」と言いました。溝田さんは、それにもひとつひとつ言葉を添えて見せてくれました。変化球もたくさんあって、非常におもしろかったです。同時にこんなに真摯になって僕のロゴを考えてくれていることに胸がいっぱいでした。
だったら「3つから選べ」って話なのですが、この話には「見直し」という続きがあります。この真摯さに対して、自分は無責任ではないか、根源的なところを伝えきれているだろうかという思いが出てしまったんです。「3年間待った片思いが実ろうとしているんだ、思い残すことなく告白しないでどうする!」的な思いもあって、もう一度話を聞いてもらいました。面倒なクライアント。

AMゼロに戻すことへの迷いや、言いづらさはありませんでしたか。

渡部申し訳ないと思いましたけれど、もんもんとしたロゴを使ってきた経験からも欲が出ました。「妥協はやめましょう。お互いが納得できるところまでやりましょう」という言葉に救われて、気がつけば「俺、どうしちゃったんだ」というくらい語っていました。こっぱずかしいくらいに。僕の中の奥底から本当の思いが引き出されていきました。デザイナーとして見た目の良さと、話をするほどにわかる溝田さんの人間臭さ。ほかのデザイナーさんだったら、こうはならなかった気がします。

AM結局一見、美容室らしからぬデザインになりました。

渡部ともすると「団子屋」が似合うような(笑)。モチーフにしたのは瑠璃唐草(ネモフィラ)という可憐な花です。そこに店名のPROSPECTが組み合わさった家紋ができあがりました。瑠璃唐草には「どこでも成功」という花言葉があり、PROSPECTには「見通しがいい」という意味があります。表向きは僕の店の家紋ですが、深いところで「いろんな国で、お互い発展して花開こうじゃないか!」という思いを形にしていただきました。 おかげさまで2014年の9月に東銀座に移転して、家紋をしょってやらせていただいています。毎朝、エントランスに掛けたのれんのロゴを見るたびに、ピリッと身が引き締まる思いです。老舗も案外多い東銀座界隈は、見渡せば家紋の街。お客様の評判も非常によくて、今後は商品をお求めいただいた際のお持ち帰り用の紙袋を作る予定です。PROSPECTの家紋が銀座の街を歩く。想像するだけでわくわくします。


AM費用に関しては、納得いただけていますか。

渡部自分もお客様商売をしています。僕が設定した金額を受け入れてくださったお客様が来てくれる。御社の価格設定に僕がお願いしたくて選んだデザイナー、あとはそこに気持ちをのせていくだけです。僕は、自分のテンションをあげることができたし、安い高いでは言えません。30万円のダイヤモンドは安いけれど、いらない人には高いのと一緒です。で、この先の自分は、このロゴを活かしたい。溝田さんが「PROSPECTのロゴは僕が作ったんですよ」と言いたくなるような仕事をしていきたいとも思います。

AM弊社としてもデザイナー一丸となって、しっかりとしたもの作り、残せるもの作りに励みたいと思います。手提げ袋もデザインさせていただきます。



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