中小企業 仕事のヒント「第5回 中小企業の経営戦略について考えてみる」
2021/03/26
第5回、中小企業の経営戦略についてです。
経営戦略なんて書くとちょっと大げさに聞こえるかもしれませんが、
難しいものではなくて予備知識として読んでいただければと思います。
そもそも中小企業の定義ってご存じでしょうか。
より理解を深めていただくためにご紹介しますね。
日本国内の全企業(法人、個人事業)の99.7%が中小企業(そのうち84.9%が小規模企業)ということで、大企業といわれているのはわずか0.3%なんです。
日本の経済は中小企業が支えているといっても過言ではありませんね。
私は正直、想像以上に多くてびっくりしました。
◆中小企業の定義◆
(1)量的な定義:中小企業基本法第2条における中小企業の定義
工業・鉱業等 従業員300人以下 または 資本金3億円以下
卸売業 従業員100人以下 または 資本金1億円以下
小売業 従業員50人以下 または 資本金5000万円以下
サービス業 従業員100人以下 または 資本金5000万円以下
(小規模企業の定義:製造業 従業員20人以下、商業 従業員5人以下)
(2)質的な定義
・独立性(大企業の子会社でない、複数の大企業から過半の出資を受けていない。)
・市場において支配力を持たない
普段はあまり意識していないですが、
特に公的な補助を受ける際には重要になってくるようです。
そんな中小企業の経営戦略について考えてみたいと思います。
中小企業って本当に多岐に渡っています。
製造業、飲食店、サービス業、個人事業、フリーランス、
さまざまな業者、業態がありますが、
大手企業とは違った経営戦略を打つことが大切となります。
なぜならば(大企業と比較して)経営資源が少なく、知名度・ブランド力も低いからです。
大企業と同じ戦略では、生き残りは困難です。
そのため「弱者の戦略」、「ニッチトップ戦略」をとる必要があります。
具体的な戦略としては、すき間やニッチなマーケットを狙うということになります。
いわばトップ企業が手を出しにくいマーケットです。
中小企業がトップ企業などの強者と戦うときは、全面戦争というように舞台を広げないで、一騎打ち、つまり特定の個別商品とか、特定エリアという具合に経営資源を限定的に集中させます。
自社の強みを生かした事業に絞ったポジショニングをとることがよいということですね。
(これはよく「ランチェスター戦略」などと呼ばれています)
・細分化された市場(ニッチ市場)でトップシェアを取る
その他、大手が参入しづらいという点では、
受注生産、オーダーメードや地域ナンバーワン製品・サービスの特徴、販売方法、研究開発、製造、人事、経営管理などの方法。
これらをミックスさせて競争戦略を立てていくと良いようです。
ニッチトップ戦略は(特定の市場を狙って事業を展開し、トップをとり収益につなげるための戦略のこと)以下が望ましい。
(製品)特定の機能を深掘り、突出した品質に
(価格)高価格
(販路)特化したチャネル(例 ネット販売のみ)
(プロモーション)派手なプロモーションはしない、口コミ・・・
今はWEBサイトやSNSなどをフル活用するのがお勧めです。
価格についての補足として、日本国内は人口減少が加速しており大量消費は見込めないです。
そのため自社の商品に付加価値をつけ、なるべく高価格帯で販売していくというのが望ましい方向のようです。
「ニッチトップ戦略」について理解を深めていただくために
ひとつ例をご紹介しましょう。
私も大好きな憧れの星野リゾートです。
各地にさまざまなリゾートホテル、旅館などを運営していますがトマムスキー場の例です。
2004年に北海道・トマムスキー場の運営を引き継いだ星野リゾート。
北海道には大規模リゾートが5つあり動向や特徴を調査した結果、
「売上高、集客率などでトマムはトップでも2番手でもない」ということがわかりました。
上位のリゾートに利益を奪われ、儲からない状態、
企業として方向を決め収益を高めるという戦略へ転換、小規模な市場でトップに立つとしてトマムの戦略を練り直す必要がありました。
そこで、トマムは新たな戦略を考えだしました。
ターゲットとなるお客様を絞り込み顧客満足度を上げる。
今までは主に若い世代、カップルだったところを
「ファミリー層」としリピーターを増やし売上高アップ、
利益率を高めることに成功したそうです。
ファミリー向けになったトマムは、
1987年にブームとなった映画「私をスキーに連れて行って」の真っただ中に学生時代を過ごした人をターゲットとしました。
多くの人が結婚し、子供が産まれ、
仕事が忙しくなりスキー場に足を運ばなくなった人、
かつてスキーを楽しんだ人を狙いさまざまな施策を講じました。
具体的なことが知りたい方はぜひこちらのWebサイトや書籍をチェックしてみてくださいね。
ニッチトップ以外にもサービス業の方には参考になる宝のような本ですよ~。
書籍 星野リゾートの教科書 日経BP社 中沢康彦 著
星野リゾートは、国が分類した「中小企業」には当てはまりませんが
「ニッチトップ戦略」という点で分かりやすい例でしたのでご紹介いたしました。
その他、中小企業のさまざまな成功事例を知りたい方は下記をご参照ください。
さまざまなパターンを知って自社に取り入れられることはないか、考えてみてはいかがでしょうか。
中小企業庁:「はばたく中小企業・小規模事業者300社」2020
出所:中小企業庁
【Texted by】
ATSUKO MURAKAMI( director )
日本大学通信教育学部 商学部卒業。
現在の研究テーマは「中小企業論」「ブランディング戦略論」、「組織論」中央大学ビジネススクール(CBS)履修中。
本メディアは、デザインが経営課題を解決する手段であることを経営者の方へ広く知っていただきたいという思いのもと、情報発信を行っています。
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